PC98拡張計画


1.NEC PC9821V200/M7 を拡張しよう!

 栄華を極めたNECのPC98も今や過去のものとなってしまった感があります。しかし、まだまだ頑張れるぞ! かつての国民機なんだから、まだまだ頑張ってもらわなきゃ。この前まで使っていたPC9821Cs2も Windows 3.1 から 95 に乗り換えるに当たり、486SX/33MHz から DX4/100MHzに武装化し、快適化した経験があります。今回は現在のメインマシンである V200/M7 の拡張に挑戦することにしました。
 ということで、いろいろ格闘したのですが、かかったコスト、労力を考えたらちょっとむなしい気持ちです。
 

2.拡張前のスペック

  CPU Pentium(MMX) 200MHz
  メモリ SDRAM 64MB:もともと32MBであったが32MB増設済み
  HDD E-IDE 4GB
  CD-R  読み込み4倍速、書き込み2倍速(SONY CDU924S):SCSI接続
  システムのバージョンは、Windows 95 ORR2.1
  これに Internet Explorer 4.01 をインストール済み。

 このマシンは MMX Pentiumが出たときの画期的な新製品で、NECのフラッグシップ的マシンでした。グラフィックはMatrox の Mistique 同等の MGA-1064SG が搭載され、ビデオ RAM は 4MB、3D性能に優れているとのふれ込みでした。また、Adaptec の OEM による SCSI ボードが内蔵され、CD-R がつながれていました。モデムのボードがCバスにささっていますが使用していません。代わりに LANボード とビデオ・キャプチャボード(Cバス)が動いています。内蔵用の I/O DATA の 640MB の MO を SCSI 接続しています。IRQの余裕はありません。Windows 95 OSR 2.1 の PCI シェアリング機能のおかげで助かっています。USB は使う機器もなく使用していません。COM2 のマイクロソフトのホイールマウスが時々ご機嫌斜めになるので、マウスポートにつながれたマウスも健在。マウスが2つ動いています。マウスポートをつぶせれば IRQ がひとつ空くのになあといつも思っています。何も COM2 にシリアルマウスをつないで IRQ を消費することもないのですが、マイクロソフトマウスの背中の膨らみが手になじんで心地いいのです。インテリマウスになって膨らみが少なくなってちょっと不満ですが。昔は 98用のマイクロソフトマウスがあったのに、店頭から消えて久しい。誰かくれませんか? あと COM1 には切り替え器を介して、デジカメのケーブルだのモバイルギアのケーブルだのとごちゃごちゃの極みです。
 これで通常の業務なら何ら支障なく行えていたのですが、世間では Pentium III だの K-6 III だの景気がいい話ばかりで、少しばかり焦りを感じてしまったのです。Windows 98 だって入れてないしなあ・・・。celeron や K6-2 450MHz のマシンが10万円で買え、Pentium III 500MHz だってモニター付きで20万円以下で買えるのに、ここでなぜ旧式マシンにこだわるか、今一度考えるべきであったかもしれません。今となってはあとの祭り。
 

3.まずはメモリかな

 64MB積んでいるのですが、文書に写真を貼り付けたり、デジカメ写真をいじったりしているとちょっと遅い。一生懸命スワップしています。もう32MB奮発しようと決心。
 さて、このマシンにはメモリの端子が DIMM用2個、SIMM用2個で、もともと 32MBの DIMMがささっており、残りのDIMM端子に 32MBを増設してあります。DIMM端子と SIMM端子は排他使用であり、これ以上の増設のためには 32MBのDIMMをはずさないといけません。確か当時 32MBは2万円以上したよなあ・・。でも仕方ない。
 さて、増設は 64MBの DIMMにするか 32MBx2 の SIMMにするか迷うところ。値段はかなり違います。NEC用の64MBの SDRAMはなぜか高い。32MBが8〜9千円で買えるのに、64MBだと3万円します。それに品切れの店も多いありさま。昔の記事で、DIMMとSIMMを混在させると良くないと書いてあったのが頭にこびりついているので、ここはやっぱり SDRAMで行くことにしました。本当は128MBにしたかったけれど予算がない。メルコの 64MBはカタログから消え、IO DATA のメモリを購入。増設したメルコの 32MBを抜いてIO DATA の 64MBを差し込む。ちょっと力がいる。電源を入れるとちゃんとメモリカウントして一安心。
 

4.ハードディスク

 HDDはIDE接続です。SCSI内蔵なんだから、HDDも SCSI接続だといいのになあ。SCSIといってもウルトラワイドとかというものでなく、ただのSCSI-2みたいだし大差ないか?さて、現在の HDDは 4GB。2つに切って、Aをシステム用、Bをデータ用としています。まだまだ余裕はありますが、Windows 98 導入に当たって、前述のように、機器がいろいろつながっており、ボードもいろいろささっている環境に、上書きインストールは危険のように思い、95の環境を残したまま98をインストールしようという誘惑に駆られました。そのためには HDDの増設が必要です。増設したCドライブを起動ドライブにしたらDOS/Vっぽくていい。ということで増設に踏み切ったのです。外付けに高速の SCSIドライブというのが常套手段と思いますが、V200には増設用のファイルベイの空きがあります。これを埋めないとは NECに対して申し訳ない、と変な義理立て。ここが私の悪いところであります。SCSIの内部増設も可能ですが、ドライブは高いし、SCSI-2なのでそれほど高速でありません。また、98のIDEは遅いという弱点があります。UltraATAならいのになあ。NXがうらやましい、と嘆いても仕方ありません。PCIバスが空いてれば、UltraATAボードを入れるんだけれど塞がっています。経済的余裕もありません。ここは安いIDEの内部増設でがまんすることにしました。
 ここでもう一つの問題。BIOSの仕様により、このマシンは4GB以上の HDDは認識しないのです。同じ V200/M7でも次のバージョンからはこの制限がなくなっています。大容量のHDDが使えないというのは寂しい話。とはいえ 4GBあれば当分足りるだろうということで、4GBの増設でがまん。ベアドライブはうまくいかないと怖いので、98用として販売されているものを物色し、メルコのDBI-N4300を購入。別にファイルベイ増設用金具が必要でした。他社製もありますが、行った店にはこれしかなかったのです。4.3GBで2万円なら買い得かなと思います。中身はSEAGATEの UltraATA対応のドライブでした。
 取り付け用金具にねじ止めし、ファイルベイに納めて、PCのケース内に予め用意されている電源ケーブルと、IDEケーブルとをつなぐだけで作業は簡単。タワー型は楽です。しかし、ふたをはずすのに9本のねじをなずさないといけません。これが一番大変。電源を入れ、領域確保・フォーマットと全く支障なく作業は終了。
 

5.でもやっぱりCPU

 マシンの高速化と言えばやっぱりCPU乗せ換えです。これをしないという手はありません。いろいろ選択肢はありますが、やはり現状ではAMD K6-2でしょう。V200/M7は Socket7で外部クロックは66MHz。いろいろ試せそうですが、地方では CPUもさることながら、電圧変換用のゲタや冷却ファンなどの小物が手に入りにくいし、失敗も怖いので、動作保証のされたメーカー製にすることにしました。PC-98用としてはメルコとIO DATA からいろいろ出ています。どうせなら400MHzです。両社の製品とも似たようなもの。値段も同じだし、冷却ファンも共に星野金属製のWinDy です。比較広告で優位性をうたっていますが大差なさそう。一方はキャッシュコントローラーの優位性を強調しますが、もう一方はコントローラー不要を強調しています。不勉強な私はどっちでもいいかと思ったのですが、買いに行った店にはメルコしかなかったので、HK6-MD400-N2を購入。
 乗せ換える前に、高速 CPU用 Windows95対応ドライバをインストールする必要があります。ドライバは FDDで付いてくるのですが、マイクロソフトのHPから最新版がダウンロードできるのでそれを入れた方がよさそう。ドライバをインストールしたらいよいよ乗せ換えです。冷却ファンの電源コードを抜き、ファンを取り外す。これがなかなか外れないで難渋する。次にレバーを引いてMMX Pentiumをマザーボードから取り外す。薄っぺらで、意外なほど貧弱なチップというのが率直な感想。こんなのが心臓部とは。ふと感慨にふける。そして、電圧変換用のゲタとWinDyの乗せられた K6-2 400MHzを装着。これまたすんなりと終了する。電源を入れ、キャッシュコントローラーをインストールして作業は終了。
 

6.結局性能は向上したのか?

 HDBENCHという有名なベンチマークテストを実施。(Ver 2.610)

  MMX Pentium 200MHz   浮動小数点 11724  整数演算 12226
  K6-2 400MHz         浮動小数点 24477  整数演算 30680

 とクロック以上の向上が確認されました。このベンチマークテストでは、ハードディスク性能が極端に足を引っ張り、ビデオ能力も劣るため、1024x768 16Bit 環境下での総合点は、前 8106、後 12411と1.5倍の向上に留まりました。しかし、かなり快適な環境となりました。驚速98との組み合わせで、ソフトがビュンビュン動きます。CPUの効果か、メモリ増設の効果か定かではないのですが、高速化は実感できます。ただし、コストに見合っているかは疑問。金をかけた割ではないかもねえ。ここまでいくら費やしたか計算するのが怖い。トータルの性能でこれよりいいマシンが買えそうです。アメリカでは広告を見ればただで配布するというシステムもあると聞きます。モニター付きで10万円以下で売られている機種もあります。一般人は、MMX Pentium 200MHzを使いつぶすのが正解かもしれません。ちょっと速くなっても、むしろ冷却ファンの騒音がものすごく、ストレスをためながらこの文章を打っているのです。速度は向上しても、快適度はむしろ低下したかも知れないと涙しています。そして、キャッシュコントロラーの仕様で、起動時の Windowds logo が表示されません。これもちょっと寂しいなあ・・。
 

7.さて、いよいよWindows 98 の導入だ

 これはこれからのお楽しみ・・・。まだまだ道は険しい。Windows 3.1 から Windows 95 への乗り換えで苦労したことを思い出します。 まずは、Windows 98 を買ってこないといけない。NECからサポートキットをもらわなきゃ。             

(1999.3.23)