2006年3月18日:佐渡温泉紀行 第2章


 昨年10月1日、久し振りに佐渡温泉巡りに出かけ、その模様は佐渡温泉紀行として掲載しました。あいにくの雨模様でしたが、小木温泉や八幡温泉、朱鷺の舞湯といった魅力ある温泉に出会い、佐渡の奥深さを実感しました。しかし、最も楽しみにしていた仙道温泉が、たまたま月一回の定休日で入浴できなかったことが何とも心残りであり、また機会を見て再訪したいと感じていました。

 そんなおり、佐渡では3月10日は語呂合わせで「さどの日」ということで、その前後に佐渡島内各地では様々な催しが開催されますが、相川旅館組合では、「相川ひなまつり」に関連して、2月25日から3月19日まで、ホテル・旅館の日帰り入浴を楽しめるイベントを行うとのニュースを聞きました。このイベントは、ホテルひらね、佐渡ロイヤルホテル万長、ホテルさどや、相川やまき、ホテル新ふじ、ホテル大佐渡、ホテル吾妻、ホテルめおとの各旅館と日帰り温泉のワイドブルーあいかわの9施設が、期間中3施設に入浴して1200円(タオル別)の湯巡り券を発売するというものです。佐渡金山で有名な相川には、かつて奉行所も置かれ、歴史的価値の高い雛人形が数多くあります。この雛人形を一挙に公開してシーズンオフの観光に役立てようというのが趣旨かと思いますが、私は雛人形よりも「湯めぐり」イベントの方が興味をそそられます。このイベントには日頃は立ち寄り入浴を受け付けていない旅館も参加しており、また格安でもありますので、是非行かねばと感じ、佐渡への思いは募りました。
 さらに、3月1日から4月27日まで、春の観光キャンペーンとして佐渡汽船のジェットフォイルの往復料金が6000円に割り引かれる「春割り切符」の発売もあって、何とかスケジュール調整できないものかと思案していました。ところが世の中いろいろあって、たとえ日帰りでもなかなか海を渡ることができません。休日の天候も安定しません。どんどん時間ばかりが過ぎていきます。
 相川のイベントは3月19日まで。ついに最後の週末を迎えようとしています。天気予報では18日は晴れるけれど、19日は雨風の予報。行くなら18日しかありません。幸い18日は休みが取れることが確認され、行く決心をしたのが前日の17日。しかし、時既に遅く、佐渡汽船に予約の電話を入れたときには既に帰りの最終のジェットフォイルは満席。それ以降の便はフェリーしかありません。これではジェットフォイルの往復割引が利用できません。かといって宿泊する余裕はありません。ということで、開き直ってフェリーで行くことにしました。時間の問題はありますが、料金は格安で済みます。

 3月18日朝は目が覚めたら既に8時。急がねばなりません。前日ちょっと飲み過ぎて体調不良ですが、ゴミ出しをして佐渡汽船へ急ぎました。駐車場に車を置き、佐渡汽船ターミナルに行くと9時を回っていました。券売機で2等切符を購入。2060円でした。9時20分発のおけさ丸に乗り込みました。船内を散策すると、2等船室は場所取りされていて、入り込む余地はなさそうでした。天気もいいのでデッキに出ると銅鑼の音と共に出航です。
 船は信濃川上で大きく方向転換して佐渡へ向かいます。朱鷺メッセ、万代島ビル、柳都大橋、NEXT21と見慣れた景色も船上から見ると趣が違います。船が進むにつれ霞の中に新潟の町が消えていきます。17日は大時化で欠航したのですが、18日は波もなく好天気。うねりもなくて、12419トンの離島航路としては最大のフェリーは揺れも全くありません。船内をうろついたり椅子席で休んだりしていると2時間半の船旅も長くは感じません。ジェットフォイルもいいのですが、ゆったりした船旅もいいものです。食堂で早めの昼食(そば+かき揚げ丼:600円)を取って休んでいるともう両津に到着です。

 11時50分、両津港到着。島内の移動はもちろんレンタカー。先回利用し、好印象だったレンタカー屋さんに行き、帰りが19時30分のフェリーなので19時まで借りたい旨を伝えると、そんなに遅いのはダメ、隣に行ってくれと冷たくあしらわれてしまいました。隣りでもやはり19時は遅すぎるとの返事。仕方なく18時までの予定で借りることにしました。一番安上がりの軽自動車は出払ってしまっており、空いていたカローラを借りることにしました。カローラはエンジン快調でよく走ってくれますが、ひとりで乗るのはもったいないですね。料金も高くなるし、これは大きな誤算でした。それにしても19時くらいまでは営業していてほしいですね。

 12時に両津港を出発。18時がタイムリミットです。あらかじめフェリーの中で作戦を練っていましたが、6時間という予定外の時間制限ができてしまい、作戦変更を余儀なくされました。数を絞って重点攻撃です。何度かの佐渡巡りで、佐渡の地図は頭に入っていると自負しているので、全くの地図なしです。

 まず最初に向かったのは、「両津温泉・佐渡シーサイドホテル」です。ここは随分前に支配人さんからメールをもらったことがあり、また、この旅館のホームページも温泉へのこだわりが感じられるため、是非行かねばと思っていた所です。赤倉温泉の遠間さんが始めた「温泉ソムリエ」を佐渡でも受け継いでおられます。昨年の佐渡行脚でも行きたかったのですが、時間の関係で行けませんでした。
 両津港から住吉温泉方面に車を進めます。確か住吉温泉の手前にあったはずなのに、なかなかありません。気がつくと住吉温泉を過ぎてしまいました。仕方なくUターンして戻るとありました。シーサードホテルというのでホテルらしい立派な建物を想像していたので、気付かずに通り過ぎてしまったのでした。ちょっと古ぼけているけれど、看板もありました。
 玄関を入っても全く人気がありませんでしたが、声をかけると支配人さんが奥から出てきました。500円を払って浴室へ向かいます。
 館内は薄暗く、古ぼけています。奥の浴室、脱衣場も年代を感じさせます。脱衣場は広くありません。温泉の成分表の横に「温泉ソムリエの入浴五か条」なるものが掲示されていたのが興味深く感じました。
 浴室に入る前に、成分表を確認。源泉名は両津温泉2号井。泉質はナトリウム-塩化物温泉。ガス性除く成分総計は3108mg/kgとほどよい濃さです。気温の低い時期のみ加温、衛生管理のため循環濾過装置を使用、お湯は毎日交換、衛生管理のため塩素系薬剤を使用、との掲示がありました。循環とは残念と感じながら浴室へ入りました。
 浴槽はタイル張りの大浴槽があるのみですが、浴槽の隅からお湯が吹き上がり、浴槽の縁から掛け流されていました。湯は適温で、淡黄色透明・無臭ですが軽い塩味がしてツルスベ感を感じます。茶色い湯花が浮遊・沈殿しています。循環併用とのことですが、浴槽の大きさの割りに掛け流し量は十分であり、湯の鮮度は申し分ありません。他に客はなく、貸し切りの使用であり、贅沢気分に浸れました。浴室は明るいのですが窓はすりガラスで、景色が見えないのは残念です。設備的には古さを感じますが、さすがに温泉ソムリエの宿であり、お湯は一級品です。泉質を重視する温泉好きの方々にはお勧めできます。作戦成功で、最初から大満足でした。

 次に向かったのは「仙道温泉」です。昨年も訪問しているのですが、そのときはたまたま月1回の定休日。全くついていませんでした。場所はよく分かっているので、昨年探し回ったのが嘘のように迷うことなくあっという間に到着。畑野市街に入る手前のコンビニ前を左折し、赤い欄干の細い橋を右折して渡った突き当たりが仙道温泉です。
 玄関を開けて声をかけると女将さんが出てきました。370円払って浴室へ。廊下を進んだ先の左手に休憩場所があり、左手にソファ、右手にこたつがあり、テレビもあります。他に客は誰もいないようで、ひっそりとしていましたが、石油ストーブが焚かれていました。奥の左に男湯、右に女湯の暖簾が掛けてありました。
 脱衣場は雑然としていて、脱衣棚の上には子供の水遊びおもちゃが並んでいて、古ぼけたベンチには使い古されたタオルが干してありました。
 浴室の戸をあけるともうもうとした湯気が立ちこめていました。中は手前側が洗い場になっており、両側の壁にシャワー付きとシャワーなしの洗い場が作られています。その奥に長方形の浴槽が2つありました。そのうちの窓側のひとつは空でした。女湯との仕切側の浴槽には黒褐色の湯が満ちており、壁の波形の模様と青い色との対比が美しく感じられました。掲示によれば、泉質はアルカリ性低調性鉱泉、源泉温度17.4℃、成分は重炭酸ナトリウムとありました。残念ながら詳しい成分表の掲示はありませんでした。冷鉱泉を沸かしたものですから、当然加熱循環されていますが、良質なモール泉です。紅茶色というか醤油色をしたツルスベ感のある柔らかいお湯です。超音波風呂装置があるのですが、無用に思えました。温まりは大変良かったです。源泉の蛇口が付いており、自由に投入できるのはありがたいです。この源泉を飲んでみたら、甘い味がしました。
 館内は古びていて、昭和ロマンの世界です。古き良き時代を彷彿させます。この雰囲気は「新津温泉」や「えこじの湯」に通じるものがあります。少年時代にタイムスリップしたような、ホットした気分にさせてくれます。生活臭漂う館内はまさに絵に描いたようなB級の世界。センター系温泉に飽き飽きした温泉好きの皆様方には特にお勧めできます。通好みの温泉と言えましょうが、観光気分の方々には向きません。噂通りのすばらしさに、佐渡に来て良かったと実感しました。

 時刻は13時を過ぎています。仙道温泉で満足気分でしたが、次はいよいよ相川へ向かいます。真野、佐和田から相川へ。限られた時間でどの旅館から攻めようかと思いましたが、まずは一番遠い「平根崎温泉・ホテルひらね」に行くことにしました。
 相川市街から海岸沿いに北上します。佐渡を代表する観光地のひとつ尖閣湾を過ぎ、しばらく走るとようやく平根崎温泉に到着です。高台にあるので眺望は抜群です。フロントに入浴をお願いすると700円ですとの返事。湯めぐり券で利用したい旨申し出て、1200円で購入。2階の浴室に向かいました。
 大きなきれいな脱衣場で、仙道温泉とは大違いです。浴室はジェット付き大浴槽があるのみですが、おおきなガラス窓からは尖閣湾と日本海が一望され、その景色に圧倒されました。お湯はアルカリ性単純温泉で、無色透明無味無臭。カルキ臭がしないのはいいですが、特徴は感じません。海底から湧出する温泉というのが売りですが、どうして塩っぱくないの、と素朴な疑問が湧きます。それはさておき、この絶景を前にしては泉質を論じることは無意味に感じられます。きれいなホテルであり、観光で訪れるにはお勧めです。

 次をどこにするか悩みましたが、相川温泉や鹿伏温泉は前に入ったことがありましたから、相川市街を抜け、思い切って南下しました。鹿伏温泉、大佐渡温泉を過ぎ、海岸を右手に見ながら進みます。原付の兄ちゃんが猛スピードで追い越していきましたが、事故のなきよう祈りました。向かった先はイベント参加施設では最南端の「ホテルめおと」です。1階はドライブインとなっており、土産物店と食堂があり、観光バスが止まっていました。七浦海岸が見渡せ、記念写真のポイントになっているようでした。この2階がホテルの入り口になっているのですが、鍵がかかっていて入れませんでした。土曜の午後というのに休みとはねえ・・。時間帯が悪かったのかな。ここは、自前の源泉はなく、相川温泉のローリーのようなので、あえて入ることもないかと思い、トイレ休憩して次に向かいました。

 次は少し北上して「ホテル吾妻」。七浦海岸の岬上に建ち、景色は最高です。フロントに湯めぐり券を呈示すると、快く浴室を案内してくれました。ちょうど結婚式が行われていて、お色直しでロビーに出てきたウエディングドレス姿の新婦を拝むことができました。(どうかお幸せに。旦那さんを大事にね。実感。)
 浴室はロビーのずっと奥を進んだ先にあります。内湯のほかに露天風呂があり、この露天風呂からは右の写真のように七浦海岸が一望され、眺望は抜群です。
 源泉名は相川長手岬温泉とあります。本来の長手岬温泉はもっと南にありますから、ローリーして使用しているようです。掲示では、露天風呂にこの温泉を使用しているとのことです。泉質はナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉で、ガス性除く成分総計は1102mg/kgありますから薄い塩味はしそうですが、実際の湯は無色透明無味無臭で、温泉としての特徴は感じられませんでした。ローリーだから仕方ないかな。ここも景色のすばらしさを前にしては、泉質はどうでもよいと感じてしまいます。カルキ臭が感じられないだけでもよしとしましょう。脱衣場、浴室ともきれいに管理されており、アメニティ類も充実しています。泉質にこだわらない方にはお勧めできそうです。

 次はまた少し北上して「ホテル大佐渡」です。ここははるか昔、結婚前に親兄弟との家族旅行で宿泊したことがある懐かしい旅館ですが、増改築され、当時の面影のない立派なホテルとなっていました。ここも春日岬の高台に建ち、風光明媚です。玄関前の手入れされた植え込みなどは、いかにも高級旅館を彷彿させます。ロビーに入ると由緒ありそうな雛人形が展示されていました。フロントに湯めぐり券を呈示すると、快く浴室を案内してくれました。
 浴室は奥のエレベーターの左側にあります。内湯は大浴槽にジャグジーがあり、サウナもあります。また、岩造りの露天風呂があり、ここも景色は雄大で、開放感たっぷりです。ここの浴室は15時からで、掃除の終わった一番風呂を堪能しました。きれいに並べられた洗い場の椅子、洗い桶は感動的でした。
 源泉名は大佐渡温泉、泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉です。ガス性除く成分総計は13198mg/kgですから濃厚な泉質のはずですが、実際の湯は、無色透明無味無臭。なめても何の味もしません。かろうじて露天風呂の湯口からは薄い塩味の湯が注がれていましたが浴槽の大きさを考えると焼け石に水。湧出量は26L/分とのことですから、湧出量に比して内風呂・露天風呂とも大きすぎて、相当に加水しているものと想像されます。せっかくの高濃度の源泉の面影が全くないのは誠に残念です。きれいな脱衣場、浴室であり、アメニティ類も充実。佐渡を代表する高級温泉旅館のひとつであろうと思われますが、泉質的にはがっかりです。しかし、景色の良さがそれを帳消しにしてくれます。相川市街からすぐなのにこの景色。立地条件の良さがこのホテルの魅力でしょう。泉質にこだわらない方々にはお勧めの旅館です。

 これで、湯めぐり券を使い切りました。湯めぐり券をもう1枚買ってもう3軒回ろうかと思いましたが、「鹿伏温泉・相川やまき」には2度宿泊したことがありますし、「ホテル新ふじ」はトロン温泉です。残りの「佐渡ロイヤルホテル万長」、「ホテルさどや」は相川温泉の引き湯かと想像されます。3軒回るには時間もおしてますし、相川の温泉巡りは深追いせずに終了することにしました。

 相川から両津への帰り道、実はもう1軒寄りたいところがあったのでした。昨年の佐渡行脚でも行こうとして、雨の中看板も見えずに行きそびれた「ビューさわた」です。ここはゴミ焼却場の余熱を利用した温浴施設です。当然温泉ではありませんが、佐渡島内の公共日帰り温泉で唯一行っていないのがここなので、行ってみたかったのです。
 とても離島とは思えないほど大型店や飲食店が立ち並ぶ佐和田市街の中で、コメリホームセンター前の交差点を山側に進みます。アミューズメント佐渡の隣の高台に「ビューさわた」があります。建物は2つに分かれており、右が「コミュニティアイランド推進事業・さわたコミュニティセンター」、左が「中山間地域活性化事業・大佐渡交流活性化センター」と表示されていますが、どこにも「ビューさわた」という看板はありません。この2つを総称した愛称が「ビューさわた」ということらしいです。入り口は「さわたコミュニティセンター」にありますので、券売機で入館券(400円)を買って入館します。
 浴室には大浴槽とサウナ、水風呂があります。洗い場は仕切付きです。高台にあるため、佐和田市街や真野湾が一望され、絶景ではありませんが眺めとしては上等です。天然温泉ではありませんが、カルキ臭もせずに気持ちよく入浴できました。ドライヤーも置いてありますし、天然温泉でないことを除けばいい施設だと思います。
 館内には食堂はありませんが、休憩室があります。正式には大佐渡交流活性化センターの会議室です。補助金の出所の問題なのでしょうが、各地の公共日帰り温泉ではこういうところが多いですね。単に日帰り温泉を作るという名目では補助金は下りないので、何とか事業という名目で作るんでしょうね。
 この休憩室には座布団のほかに、毛布や枕が置いてあって自由に使えます。私もごろりと横になって、テレビを見ながら休憩しました。土曜の午後というのに空いていてゆったりできました。

 時刻は17時。タイムリミットが迫りますが、少し時間がないでもありません。最後は温泉でしめなければ。ということで、昨年の〆で利用した椎崎温泉の「朱鷺の舞湯」へ急ぎました。ここまでどうにか天気は持ちましたが、雨がぱらついてきました。夕方になり肌寒くなってきました。
 「佐渡グリーンホテルきらく」のフロントで500円を支払って、離れの露天風呂へ急ぎました。木枠の浴槽、板張りの床は趣深く、何より加茂湖を一望する眺めの良さは最高です。牡蛎筏の浮かぶ湖面、雪をいただく大佐渡山脈の山並みが見えます。少しぬるめのお湯も心癒すには好適ですが、夕暮れ時で、肌寒い風が吹き出して、なかなか湯から出られません。
 源泉名は両津温泉2号井、泉質はナトリウム-塩化物温泉です。本日最初の「佐渡シーサイドホテル」と同じ源泉です。淡茶褐色透明・無臭ですが、わずかな塩味がありツルスベ感があります。茶色い湯花もあります。浴槽がヌルヌルとして滑りやすいので注意しましょう。女湯にには意味深いモニュメントがあるらしいですが、男湯には朱鷺の人形があります。洗い場も申し訳程度にありますが、基本的にここは体を洗う場所ではなく、温泉を楽しむ場所でしょう。休憩設備も全くありません。

 日没が迫り、すっかり暗くなって、時間も残り少なくなりました。帰りを急がねばなりません。ちょうど18時に佐渡汽船ターミナル着。レンタカー屋さんの兄さんが帰りを待っていました。6時間借りて走行距離は100kmちょっと。ガソリン代オール込みで、10195円。結構高くついてしまいました。支払いが済むと店じまい。私が最後の客だったようです。
 帰りのフェリーは19時30分。まだまだ時間があります。土産物店でも見ようかとターミナルの土産物店街に行ってみましたが、シャッターを下ろして店じまいの最中。佐渡汽船の待合所も閑散としています。それならということで傘をさして両津の商店街まで歩いてみましたが、人の気配がありません。佐渡の夜は早いようです。この時間にうろつく観光客もないようですね。
 仕方なく再びターミナルに戻り、夕食をとることにしました。3階の食堂に行くとここも人の気配がありません。ずらりと並んだテーブルがあるものの客は誰もいません。もう閉店なのかなと不安になって、中に入って声を掛けると営業中とのこと。大きな食堂にひとりだけというのは寂しいのですが、鮮魚定食(1500円)は美味しかったです。そのうちもうひとり客が来てホッとしました。

 時刻は19時を過ぎ、佐渡汽船に行くと最終のフェリーの乗船客が集まってきていました。先ほどの閑散さが嘘のようです。ちょうど改札。2等チケットを買って乗船しました。船は朝と同じおけさ丸です。朝のような混雑はなく、2等船室も空いていてくつろげそうです。毛布(100円)を借りて、さっそく横になりました。エンジンの振動が心地よい刺激となり、すぐに寝入ってしまいました。気が付くと新潟港入港のアナウンス。まさに夢の中の船旅でした。
 新潟港着は22時。駐車料金は2300円。これは高いですね。24時間以上駐車すると1000円に割り引くキャンペーンをやっているのですが、日帰りには適用されず、大変割高です。新潟空港などに比して割高な駐車料金はいつも指摘されることですが、なかなか改善されないのが残念です。

 これで今回の佐渡行脚は終わりです。「佐渡シーサイドホテル」と「仙道温泉」のすばらしさは予想通りでしたが、相川の3館は泉質的には物足りませんでした。しかし、景色の良さは圧巻でした。「ビューさわた」を除いては、いずれも貸し切り状態での入浴でした。泉質が良くても混み合った温泉施設が多いですが、浴槽や景色を独り占めしての入浴は大きな喜びでした。
 佐渡の魅力を再認識した今回の旅でした。皆様もいかがですか。なお、ジェットフォイルの割引、フェリーの車両輸送の割引は4月27日までですからお急ぎ下さい。