2000年の大晦日は幸い休みが取れたので、家族で温泉で過ごすことにしました。なじみの旅行社で年末になってあわてて旅館を手配したのですが、近いところではここが空いていました。たしか3年前の正月もここで過ごしたのですが、面倒なので即決してしまいました。 ゆっくりしたいので、早めに家を出て4時前にチェックインを済ませました。フロントの応対は良く気持ちよく入館です。部屋は4階の角部屋、家族5人には充分な広さです。洗面所の流しは2つ。トイレはヒーターとウォッシュレット付き。窓を開けたら向かいに共同浴場の美人の泉が見えます。部屋の設備も充分です。客室係の対応も適切。何より若くて美人なのはたいしたものです。 さっそく入浴。このHPの番外でも既に紹介済みですが、このホテルには2つの大浴場があります。「4つの大浴場、12の浴槽、うち6つが露天風呂、2つのサウナ、3つの泉質、24時間温泉三昧。」というのが宣伝文句なのですが、実際は男女別ですから、利用できるのはその半分ということです。ちょっと紛らわしい表現ですよね。 さて、大浴場ですが、ロビー右手奥にあるのが、新設されたと思われる浴場で、姫の湯、殿の湯というのがあります。それぞれに長方形の大浴槽が2つ、岩造りの露天風呂が2つ、そしてサウナがあります。泉質はミネラルラジウム鉱泉とのことですが、無色透明無味無臭で特徴はありません。この源泉についての成分表示はありませんでした。表示してあったのはもうひとつの方の大浴場の泉質で、こことは別です。紛らわしい限りです。また、大浴槽のひとつは備長炭湯だそうです。泉質に特徴がないときによくやる手段ですね。要するに、この大浴場は広くてきれいなのですが、硫黄臭漂う月岡温泉とは全く異なる世界です。3つの泉質というのも結局、備長炭湯までカウントしての話なんです。 もうひとつの大浴場はロビー左奥にあります。湯香炉と称し、美人の湯、源氏の湯があります。スリッパを脱いだ後、畳敷きの廊下を歩いて浴室にむかう演出がにくいですね。家族風呂も廊下沿いにあります。ここは檜造りの大浴槽がひとつと露天風呂ひとつのみですが、硫黄臭漂う本来の月岡の湯です。照明は暗く落ち着いた雰囲気を醸し出しています。洗い場の蛇口は黒く変色しています。やっぱり月岡はこうじゃなきゃねえ。源泉が注がれていますが量が少ないため掛け流しという訳にはいきません。飲泉できるようになっていないのも残念です。露天風呂は循環式らしく、ぬるくて硫黄臭・硫黄味も少ないように感じました。 表示によれば、泉質は含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉。源泉温度48.0℃。陽イオンとしては、Naイオン1057mg/kg、Caイオン45.3mg/kgなど、陰イオンは、塩素イオン1244mg/kg、硫酸イオン584.1mg/kg、炭酸水素イオン309.7mg/kgなどのほか、硫化水素イオンを109.4mg/kg含むのは特筆できます。月岡は古い旅館は独自の源泉井戸をもっていることが多く、微妙な違いがあっておもしろいですよ。ともかく、この泉質はすばらしいと思います。硫黄泉好きにはたまらないでしょう。 さて、湯上がりのビールを飲んでいるうちに、夕食の時間です。部屋出しで、質・量とも満足でした。しょっつる鍋がいい味してました。子供の余りまで食べちゃって、すっかり満腹。夕食後はロビーで和太鼓の演奏とビンゴ大会。商品多数で子供は大喜び。その後は越の寒梅争奪ジャンケン大会と楽しい演出の中に大晦日の夜が更けていきました。その後年越しそばをいただいて21世紀を無事迎えました。 翌朝は朝風呂を楽しんだ後、8階のコンベンションホールでバイキングの食事。温泉街が一望できて絶景です。メニューはお決まりですが、種類は豊富、餅つき大会もあって楽しい朝食でした。ゆっくり食事しすぎて、チェックアウトがあわただしくなってしまいましたが、楽しく新年を迎えることができました。 総じて、職員が若くて生き生き、キビキビと振る舞っていたのには好感を持ちました。布団の敷き方も訓練されているという感じで見事でした。3年前来たときよりずっとサービスが向上しているように感じました。純粋に温泉を楽しむということなら別の選択肢もあろうかと思いますが、家族で手軽に、多少の豪華さも味わうには格好の宿だと思いました。帰りに美人の泉に寄ろうかと思いましたが、あいにく元旦で休業でした。残念でしたが瓢湖の白鳥を見つつ家路につきました。 |