2000年8月21日〜22日:温海温泉・たちばなや〜月岡温泉


 毎年夏休みに家族旅行と称して2〜3泊の県外の温泉巡りをするのが恒例であったが、子供も中学生となると、忙しいらしい。部活動の合間を縫って、たった1泊だけの家族旅行となった。今回は近いところで、山形の温海温泉である。15年位前に来て以来である。そのときはたしか温海グランドホテルであった。温海温泉といえば萬国屋が有名であるが、あいにく懐が寂しく、今回は「たちばなや」である。とは言え、いいホテルである。

 昼に職場を後にして、新潟に帰り家族を乗せて、ドライブがてら笹川流れ経由で山形県境をめざす。夏の日本海は美しい。粟島もよく見える。笹川流れも随分と整備され、快適になった。国道7号線に合流する手前、ゆり花温泉があるが、日も暮れてきたので寄らずに旅館へとむかった。

 温泉街を横切る川の向こうに旅館がある。なかなかの風格である。萬国屋の隣だが、ひけをとらない。部屋はかなり広く、掘り炬燵付きである。5人家族には充分広い。檜風呂や簡単なキッチンまで付いている。我が家の旅行は5人で1泊2日10万円以内が原則なので、決して料金は高くはない。

 さて、さっそく入浴。浴室の手前に独立して洗い場があり、個々に仕切が付いている。浴室は和風の落ち着いた雰囲気である。大きな檜の大浴槽に無色透明な湯が満ちあふれ、掛け流しされている。外には屋根付きの露天風呂があり、やはり掛け流しされていた。虻に注意という表示が興ざめだったが。

 源泉は、温海温泉5,6,7号源泉。泉質は、ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉。源泉温度63.5℃。Naイオン586.1mg/kg、Caイオン224.2mg/kg、塩素イオン893.6mg/kg、硫酸イオン424mg/kgなど蒸発残留物計は2241mg/kgであり、塩味・苦みがあり、肌に優しい程良い塩分濃度である。何より掛け流しというのがいい。温まりもよい。

 さて、食事であるが、夕食は、部屋出しではなく料亭。これも気分転換になって良い。家族5人の膳が並べられ、ちょっとした宴会気分である。メニューは値段相応に満足できるもの。料理を包む紙にあぶり出しで、歓迎・近藤様と書かれているのは粋な演出。朝食も同じ部屋。朝食としては充分な内容であった。
 総じて、館内はきれいであり、サービスもまずまず。気持ちよい風呂は何より。温泉好きとしても満足できた浴室であった。ただし、家内は虻に刺されてしまったが。

 帰り道、国道7号線沿いの海岸の道の駅でトイレ休憩。快晴の空、真っ青な日本海に誘われ、海辺に降りてみた。思いの外水がきれいで、潮溜まりに小魚が泳いでいた。山北町に入り再び笹川流れを通る。今日は遊覧船に乗って海岸美を楽しむ。ちょっと波が高くてスリリングだったが、景色は最高であった。昼食は奮発して、民宿で地元の岩牡蛎のフルコース。むきたての岩牡蛎にレモンを絞って食べたらたいそう美味しかった。

 午後は何故か胎内に寄る。単にまっすぐ国道7号線を南下するのがつまらないので、途中で左折したのである。釣り堀でニジマス釣りを楽しむ。豊漁だったのは良いのだが、買い取らされて意外な出費であった。ただしその場で焼いた味は最高であった。日も暮れ、いつの間にか薄暗くなってきた。手は魚臭いし、ひと風呂浴びて帰ることとし、どうせならということで、月岡の豊月の里に立ち寄る。硫黄臭漂う月岡の湯はやっぱり好きである。ここは、HPでも紹介したとおり、長方形の大浴槽は循環式だが、隣の岩風呂は源泉100%の掛け流しである。黒い湯花も漂い、月岡の湯を満喫できる。設備的に乏しいのは難点であるが。

 1泊ではあったが充実した旅ではあった。子供の成長と共に、親の思い通りにはならなくなってきた。いつまで家族旅行ができるかふと心配になったりもした。