東京交響楽団 名曲全集第199回 Live from MUZA! | |
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2024年9月14日(日) 14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール | |
指揮:アンドレアス:オッテンザマー ヴァイオリン:中野りな コンサートマスター:小林壱成 |
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ストラヴィンスキー:弦楽のための協奏曲 二調 モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219「トルコ風」 (ソリストアンコール) J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番より クーラント (休憩20分) チャイコフスキー:交響曲 第1番 ト短調 op.13「冬の日の幻想」 |
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恒例の、東京交響楽団のライブ配信ですが、今回は名曲全集199回です。指揮は、ベルリン・フィル首席クラリネット奏者でありながらも、指揮者としても活発な活動を行っていて、最近新潟にも来演したばかりのアンドレアス・オッテンザマーです。 そして、前半のモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」で共演するのは、日本音楽コンクール(2021年)、仙台国際音楽コンクール(2022年)で優勝した中野りなさんです。 後半のメインプログラムはチャイコフスキーの交響曲第1番という実演では聴く機会がない曲であり、興味深い演奏会です。 同じプログラムで、9月15日に第138回新潟定期演奏会として演奏されるのですが、残念ながら仕事で聴きに行けなくなりましたので、代わりとして、このライブ配信を聴かせていただくことにしました。 「ニコ響」のサイトに接続しますと、ミューザ川崎のステージが映し出されていました。開演時間となり、拍手の中に団員が入場しました。今回は起立して待つ新潟方式ではなく、すぐに着席しました。 最後に本日のコンマスの小林壱成さんが登場して一礼し、チューニングとなりました。弦楽のみで、通常の配置です。弦5部は、8-7-6-5-4と小型で、コンマスの隣は見慣れない男性でした。 1曲目は、ストラヴィンスキーの「弦楽のための協奏曲 ニ調」です。「ニ長調」でも「ニ短調」でもなく、「二調」というのは何なんだろうと素人は混乱してしまいます。 オッテンザマーさんが登場して演奏開始です。指揮棒なしでの演奏で、ちょっととらえどころのない、ふわふわと揺れ動くような音楽が流れ出ました。緩急を繰り返し、怪しげなリズムが、不安感を醸し出しました。 第2楽章は、ゆったりと流れますが、不気味な緊張が漂いました。最後は静かに終わりました。第3楽章は、せわしないリズムに載せて、緊張感を感じさせながらも、どこか心地良さも感じられ、激しくリズムを刻んでフィナーレとなりました。 なるほど、弦楽だけでしたが、やはりストラヴィンスキーの音楽なんだなあと納得しました。なかなか楽しめる演奏でした。 ステージ転換されて、管楽器(オーボエ、ホルン)が加わり、弦5部は10-8-6-4-2 となりました。腰元にリボンが付いた濃い紫色のスリットの下に白が配されたドレスで、髪を後頭部にまとめて、清楚でフレッシュさを感じさせる中野さんとオッテンザマーさんが登場し、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」です。今度は指揮棒を持っての演奏です。 爽やかで軽快に舞い踊るヴァイオリン。オケも軽やかでした。カデンツァの美しさに息を呑み、第1楽章を終えました。 第2楽章は、ゆったりと、可憐な容姿そのままに、この上なく美しく歌うヴァイオリン。オケと絡み合い、優しく融合し、極上の癒しの音楽に酔いしれました。 第3楽章は、明るく舞い踊り、軽やかにステップを踏みました。心地良い音楽に割って入るトルコ風のリズムにかき乱されるも、そのリズムに載せてヴァイオリンは歌い踊りました。再びゆったりと、穏やかな時間が訪れ、静かに曲を閉じました。 極上のモーツァルト聴かせてくれて、心も明るくなりました。弱冠20歳ながらも、このように落ち着いた音楽を創り出し、極上のサウンドに酔いました。 大きな拍手とブラボーに応えて、中野さんの曲紹介があって、バッハの無伴奏ヴァイオリンパルティータからクーラントが演奏されました。これがまた心を打つ素晴らしさ。中野さんはただ者ではありませんね。落ち着きがあり、上品で可愛らしさ感じさせる容姿も魅力的。何よりも楽し気に弾いているのが良いですね。今後大きく羽ばたいていくことは間違いなく、注目していきたいと思います。 休憩後の後半はチャイコフスキーの交響曲第1番です。オケのサイズは大きくなって、14型になりました。オッテンザマーさんが登場して演奏開始です。 指揮棒を持っての演奏で、ちょっと速めに、軽快に第1楽章が始まりました。力強くリズムを刻んで、グイグイと前進し、哀愁的なメロディを交えて、緩急織り交ぜながら楽章を閉じました。小気味良いリズムが躍動的で良かったです。 第2楽章は、指揮棒を置いての演奏でした。ゆったりと歌い上げて、弦楽アンサンブルの美しさが光り、管楽器で奏でられるメランコリックなメロディにうっとりしました。オーボエを始めとして、管楽器群のパフォーマンスは素晴らしかったです。しみじみと泣かせる演奏に、胸が熱くなりました。ホルンが泣き叫び、悲しみがクライマックスとなり、静寂を取り戻して楽章を閉じました。 第3楽章は、再び指揮棒を持っての演奏です。せわしなくリズムを刻んで、緊迫感を感じさせ、中間部では優しく歌い、そして再び激しくせわしなく・・。ティンパニが連打して、激しい全奏で終わりました。 第4楽章は、暗い管の響きで始まり、弦が悲しげにメロディを歌い、静けさの中から湧き上がるように明るい音楽が沸き上がり、エネルギーをみなぎらせて次第にヒートアップ。仕切り直しをして、各パートが力強くリズムを刻んで、パワーを増して行き、再び静寂へ。静けさの中に、一条の光が差し込み、次第に暗闇が明るくなり、どんどんと力を増して、勝利のファンファーレを奏で、明日への希望の中に力強くフィナーレを迎えました。 この曲の良さを知らしめてくれるような素晴らしい演奏であり、大きな胸の高鳴りを感じました。オッテンザマーさんの曲作りは、私の心にぴったりとはまりました。指揮に応えた東響の素晴らしさ。日頃見かけないメンバーが多々ありましたが、素晴らしい演奏でした。 振り返って、後半のチャイコフスキーも良かったですけれど、やはり中野さんとのモーツァルトが良かったですね。これを新潟定期で生で聴けたはずなのに、聴けなかったのは残念であり、今年最大の悲しみです。まあ、ネット配信で聴けただけでも幸運ということで自分をなだめ、ニコ響のサイトを後にしました。 (客席:PC前、無料) |