APRICOTの銀河鉄道の夜
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2021年7月31日(土)16:30 新潟市民芸術文化会館 劇場
りゅーとぴあ演劇スタジオ キッズ・コースAPRICOT
 
原作:宮沢賢治 

脚本:笹部博司
音楽:野瀬珠美 
美術・衣裳:後藤信子
演出:戸中井三太 
振付:内堀照子
歌唱指導:西潟明美 
ダンス指導:川谷麻理子

演奏
ヴァイオリン:加藤礼子
チェロ:渋谷陽子
ピアノ:野瀬珠美

 りゅーとぴあの子どもの劇団APRICOTは、2001年にスタートし、今年は20周年を迎えました。私も何度か観させていただき、子どもたちの熱い演技に感動をいただきました。

 今回は、20周年記念公演として「APRICOTの銀河鉄道の夜」が上演されることになり、プロモーション活動も活発に行われました。昨年はコロナ禍で、関係者のみの公演でしたので、劇場での本格的な公演は2年ぶりとなり、この公演にかける意気込みが伝わってきました。

 7月31日と8月1日の2日間、昼と夕方の2公演ずつ、計4公演開催されましたが、私は初日の夕方の公演を観させていただくことにしました。
 主要キャストはダブルキャストとなっており、主役のジョバンニとカンパネルラはAキャストが女性、Bキャストが男性で組まれていて、それぞれがどう演じてくれるのかも楽しみだと思います。私の回はBキャストでした。

 コンサートホールでの「オーケストラはキミのともだち」が終わり、ホールを出て、東ロビーで原稿を書きながら時間をつぶしました。原稿の概略を書き終わりましたら、ちょうど開場時間となりましたので、劇場へと向かいました。

 開場口がいつもと違って奥になっており、手前のロビーには、これまでの公演のポスターが展示されていて、20年の歴史をうかがい知る事ができましたました。

 手の消毒と検温をして、半券を自分でちぎって入場。ホールの中央部右寄りに席を取りました。客席は家族連れで賑わっていて、子供たちがたくさん来られていました。開演時間が近付くに連れて客席は埋まり、大盛況で何よりです。開演前のアナウンスは子供たちが行っていて、ほのぼのとして和ませてくれました。

 ホール内で、同業者の友人と遭遇。ご子息が出演されているとのこと。プログラムを見ますと主要キャストのようです。すばらしいですね。親としても誇らしいことでしょう。

 これまで同様に、ステージ前の左手に演奏者ピットが設置されていて、ピアノの野瀬珠美さん、ヴァイオリンの加藤礼子さん、チェロの渋谷陽子さんがスタンバイし、幕が上がりました。

 貧しい家の孤独なジョバンニが、心優しい同級生のカンパネルラとともに、星祭の夜に銀河鉄道に乗って星座を回る心の旅。その旅の中で出会った人たちやエピソードの中で、生命の大切さや生きる意味を知る・・。
 込められたメッセージは奥深く、その深遠さは味わい深いものがあります。銀河を形作る星は、砂のようにしか見えないけれど、ひとつひとつの星には命があり、それぞれがかけがいのない大切なものである。終盤で全員の合唱で歌われるメッセージは心に迫るものがあり、感動を誘いました。

 野瀬さんの創り出す音楽は、聴き馴染みのあるメロディを織り交ぜながら、心に迫りました。加藤さんのヴァイオリン、渋谷さんのチェロの素晴らしさ!
 朗々と響き渡り切々と語るチェロに癒され、涙し、艶やかに響くヴァイオリンに心奪われ、特にチェロとヴァイオリンとの二重奏の場面は心に染み渡りました。
 
 大道具的なものはなく、手に持った立方体の小道具程度でしたが、銀河を思わせる電球や照明効果が美しく、銀河鉄道の旅を共に楽しみました。

 子どもたちの演技の素晴らしさ、歌声の素晴らしさ。練習が積まれ、鍛え上げられ、感動のステージを創り上げてくれました。終盤の全体合唱の場面では感動が込み上げ、否応なしに涙が出てきました。込められたメッセージは会場の子どもたちの心にも伝わったものと思います。

 新潟市ジュニア音楽教室と共に、APRICOTは新潟市の宝です。新型コロナで練習もままならない中での公演で、その苦労は想像に難くありません。
 出演者はマウスシールドをつけての演技でした。苦難の中に成し遂げた20周年記念の公演は、これからも末永く語り継がれることでしょう。

 大きな感動を胸にりゅーとぴあを後にし、束の間の銀河鉄道の旅から、現実の世界へと身を委ねました。新型コロナ感染はますます深刻となっています。苦難の現実を乗り切らねば・・。

  

(客席:2階15-24、¥1000)