気軽に楽しむ名曲音楽会 vol.2 ピアノトリオで世界を旅する
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2021年7月22日(木)14:00 見附市文化ホール アルカディア 大ホール
Vn:佐々木友子、 Vc:片野大輔、 Pf:金子陽子
 


ジャーマン:小さな世界

(イギリス)
 エルガー:愛の挨拶 
(フランス)
 サティ:ジュ・トゥ・ヴー 
(ハンガリー)
 モンティ:チャルダッシュ 
(ドイツ)
 ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第5番 ニ長調 Op.70-1 「幽霊」 第1楽章  

(休憩15分)

(ハワイ)
 ハワイ民謡:アロハ・オエ 
(アメリカ)
 カーベンターズ:トツプ・オブ・ザ・ワールド 
(アルゼンチン)
 ピアソラ:リベルタンゴ
 ピアソラ:ブエノスアイレスの四季 より ブエノスアイレスの冬
(日本)
 葉加瀬太郎:情熱大陸

(アンコール)
 涙そうそう

 今日は海の日。休みが取れましたので、どうしようかと思案しました。新潟市内の音楽フリークはギャラリー蔵織に行かれるでしょうから、私は見附遠征することにしました。

 今日のコンサートは、新潟の地で、プロとして、おそらくは最も活発に音楽活動をされていると思われるチェリストの片野大輔さん、ヴァイオリニストの佐々木友子さん、そして長岡を中心に活躍されているピアノの金子陽子さんが出演されます。
 それぞれが個人で、グループで、活発な演奏活動をされていて、これまで何度も聴かせていただいていますので、ここでは紹介し切れません。この3人揃ってのコンサートを聴くのは、昨年8月以来になります。

 家から農道と国道8号線経由で45km余り。高速を使わなくても大して時間もかからずに到着。がらがらの駐車場で時間をつぶし、開場を待ちました。
 数人の客がホールに入って行かれましたので、私も開場時間の20分前にホールに入りし、手の消毒と検温を終えて当日券を購入しました。
 開場待ちの列に並びましたが、開場待ちの管理がしっかりされているのには驚きました。ソーシャルディスタンスの確保は、これ以上ないくらいに厳格で、1列で決められた枠内で待たなければなりません。折り返して並ぶようにされた列と列との間には仕切りがあります。この管理システムは、おそらくは県内最高でしょう。前方の人は、早く並んだ特権で、ソファに座って待てるのは良かったです。半券に住所・氏名・電話番号を書き、開場を待ちました。

 程なくして開場となり、半券を自分で切って入場。客席への入場は一方通行で、客席のブロック毎に行き方が指定されており、席に着くのも進む方向が厳密に指定されていました。
 客席は、各座席間がアクリル板で仕切られており、背もたれにもアクリル板が設置され、前後の遮蔽も配慮されていました。ここまでしているホールは珍しいのではないでしょうか。

 座席を確保した後、トイレに行こうとしたのですが、トイレへ行くのも一方通行で、曲がりくねった行き方が指定されており、ものすごい遠回りです。
 男性トイレの小用便器は1つおきに使用するようになっていて、近接しないように配慮されていました。トイレから席に戻るのも一方通行で、指定された行き方に従わなければなりませんので、席に着くのも大変です。

 これほどまでに厳密な管理は見たことがありませんが、そこまでしながら客席は隔席には指定されず、密集・密接も自由で、おしゃべりも自由というのはどうなんでしょうかねえ・・。

 これでもかというくらいに感染予防策が講じられていましたが、集客は多いとは言えず、838席の大ホールにほどほどの客。ゆったりできて良かったです。混雑するほどの客数ではなく、厳しい管理を要する必要性は感じられないようにも思いましたが、万全を尽くすことは大切ですね。

 ステージにはこのホール自慢のベーゼンドルファー・インペリアルが置かれ、後方にはスクリーンが設置されて、パワーポイントのスライドが投影されていました。

 開演時間となり、爽やかな水色のドレスの佐々木さん、薄紫のドレスの金子さん、青シャツに黒ベストの片野さんが登場して、コンサートの開幕を告げる「小さな世界」を演奏して開演しました。
 今日のコンサートは、気軽に楽しむ名曲演奏会の第2回目で、「ピアノトリオで世界を旅する」と題され、世界各国の曲を演奏して旅行気分を味わおうという趣旨です。この1曲目の中にも、韓国風、日本風、アラビア風、スペイン風などのメロディが組み込まれていて、気分を盛り上げて、コンサートの導入にはぴったりの編曲でした。

 ここで片野さんと佐々木さんによるトークがあり、以後パワーポイントのスライドを見ながら、二人のぎこちない掛け合い漫才により国の紹介と曲目紹介がなされました。片野さんの軽妙な突っ込みと、佐々木さんのほのぼのとしたボケにより、面白おかしく演奏が進められました。

 まずは佐々木さんが留学されていたイギリスとして、エルガーの「愛の挨拶」が爽やかに演奏され、次はフランスで、サティの「ジュ・トゥ・ヴ」、ハンガリーのモンティの「チャルダッシュ」と定番曲が続きました。

 そして前半最後はドイツとして、べートーヴェンのピアノ三重奏曲第5番の第1楽章でした。本来のピアノトリオとしての曲は結局この曲だけで、一番力が入っていたように思われました。
 曲目解説に際して、「幽霊」という副題の説明のため、第2楽章のさわりも演奏してくれました。全曲を聴きたかったところですが、今日のコンサートの趣旨からはこれで我慢です。このメンバーによる「幽霊」の全曲は、昨年8月の「SanDoコンサート」で聴いていました。
 ドイツ代表がなぜこの曲になるのかは疑問ですが、1楽章のみとはいえ、オリジナルのピアノ三重奏曲を演奏したのは、クラシック奏者としての矜持でしょうか。

 休憩後の後半は、なぜかハワイに始まり、「アロハ・オエ」。そしてアメリカとして、カーペンターズの「トップ・オブ・ザ・ワールド」と続きました。

 次は、今年がピアソラの生誕100周年という記念イヤーということで、ブラジルはピアソラの「リベルタンゴ」と「ブエノスアイレスの冬」が演奏されました。緩急・硬軟が目まぐるしく入れ替わるピアソラの音楽世界が良く出ていたと思います。
 
 そして最後は、もちろん日本。どうしてこの曲かという突っ込みはやめにして、「情熱大陸」を情熱的に演奏して盛り上げて、予定のプログラムは終了しました。

 拍手に応えて、アンコールは佐々木さんが真っ先に演奏したいと言っていたという「涙そうそう」をしっとりと演奏し、爽やかな余韻の中にコンサートは終演となりました。

 少数精鋭の観客でしたが、客席のブロックごとに分散退場となりました。きちんとした運営は公共ホールの鑑といえましょう。担当者の尽力に敬意を表したいと思います。

 トークを交えた市民向けの肩の凝らないコンサートで、聴きに来られた方々も十分に満足できたのではないでしょうか。ホールで聴く生演奏の素晴らしさを味わっていただけたものと思います。願わくば、若者たちにもたくさん来て欲しいですね。

 さすがに実力者3人。ジャンルを超えて期待にたがわぬ演奏を聴かせてくれました。地道に演奏活動を続けて、新潟の音楽文化の向上に寄与していてくれることに感謝し、今後のさらなる活躍を祈念し、ホールを後にしました。

  

(客席:10-12、当日券:\1200)