トリオ・ベルガルモ演奏会  幽遠なる調べ
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2017年5月13日(土)14:00 新潟市民芸術文化会館 スタジオA
 
トリオ・ベルガルモ
(ヴァイオリン:庄司 愛、チェロ:渋谷陽子、ピアノ:石井朋子)
 
ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲 ニ長調 作品70ー1「幽霊」

ジョラ:Ah!ハイドン

(休憩15分)

シヨーソン:ピアノ三重奏曲 ト短調 作品3

(アンコール)
ドビュッシー:夢想

 小雨が降ったりして、落ち着かない天候になりましたが、音楽を聴くには問題はありません。今日は大ファンであるトリオ・ベルガルモの演奏会であり、万難を排して、りゅーとぴあへ駆けつけました。
 今日は16時から市内某所での会議に出席しなければならず、どうしようか思案しましたが、前半だけでも聴ければ良いかなということで、チケットを買っていました。

 開場とともに入場。いつもは正面前方に席を取るのですが、今日は時間によっては途中退席も覚悟していましたので、珍しくも出口に近い左側最後列に席を取りました。

 今日の演奏会は14時と18時の昼夜2回公演ですが、この昼の部は満席の大盛況です。ピアノの右に豪華な花が飾られ、ステージを美しく彩っていました。

 青のドレスの庄司さん、黒のドレスの渋谷さん、赤のドレスの石井さんが登場し、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲で開演しました。各楽器とも響きが豊かであり、スタジオAの音響の良さを再認識しました。
 寄り添いせめぎ合う3人の情熱溢れる演奏に心奪われました。「幽霊」という副題の由縁となった第2楽章の深遠さも良かったです。アンサンブルには寸分の隙もなく、ピアノ三重奏の魅力を知らしめてくれました。

 続くジョラの「Ah! ハイドン」は、現代曲だけあって、私のような凡人を拒むような冷たさが感じられ、理解するまでにはいたりませんでしたが、音響劇として楽しむことができました。異次元の空間に誘われ、夢幻の世界へと漂いました。ピアノは鍵盤を弾くだけでなく、上面を叩いたり、弦を操作して響かせたりと、多彩な音色を創り出していました。
 ハイドン・トリオにより初演された曲だそうですが、曲名にハイドンがあるものの、どこがハイドンなのかは疑問に思いながら聴いていました。でも、このような現代曲に挑戦するベルガルモには感服しました。

 休憩後の後半は、ショーソンのピアノ三重奏曲です。不協和音が続き、緊張感を要求される現代曲を聴いた後にこのような曲を聴くと、ほっとしました。
 色彩感あるピアノの上に、朗々と音量豊かに響くチェロと、繊細な音色のヴァイオリンが絡み合い、美しくも力強く、感情を波打たせ、切々と心に訴えかける音楽が胸に迫りました。

 アンコールにドビュッシーを演奏して終演となりましたが、美しき3人が創り出す音楽は、安定した演奏技術の上に情熱にあふれ、聴く者の心を揺さぶるようでした。新潟の至宝とでもいうべき3人の活躍を、今後も楽しみにし、見守りたいと思います。

(客席:左側後方、¥2000)