長いこと音楽を聴いていますが、このチラシを見るまで Opus X というユニットの存在は全く知りませんでした。真っ赤で目立つチラシは厚紙でつやつやし、たいそう立派ですが、これを見ただけでは何のコンサートかさっぱり分からず、逆に胡散臭さを醸し出していて、集客に繋がらなかったのではないでしょうか。
「耳の肥えたクラシックファンも思わず唸る、名門ジュリアード音楽院出身者による名曲コンサート」というキャッチコピーが裏に小さく書かれていて、漸く何のコンサートか推測できました。
チラシの写真の美女4人はセクシーで魅力的ですが、私にとっては聞いたこともない名前であり、ピアノ、ヴァイオリン、チェロにクラリネットが加わるという変な編成も気になり、怪しげに感じてチケットは買わないでいました。
しかし、今日は午後時間が空きましたので、昼過ぎに秋晴れに誘われてりゅーとぴあに行き、今日発売の某公演のチケットを買い、チラシ集めをしていました。このときちょうどこのコンサートの開場が行われており、客がまばらで寂しそうでしたので、ボランティア精神で当日券を買って入場しました。でも、席は最安のB席にしました。
ホールに入りますと、席は1階席とステージ周りを除く2階席のみ使用されましたが、それでも空席が目立ち、安席エリアだけが賑わっていました。私の席はB席ではありますが、通常のコンサートではS席エリアであり、決して悪い場所ではありません。ホールはがらんとして、ちょっと寂しかったです。音分でちょうど良いくらいの客数じゃないでしょうか。
前置きが長くなってしまいましたが、時間となり、黒いドレスの4人が登場して開演です。ステージ中央のピアノの前に、左からヴァイオリン、チェロ、クラリネットと並びました。
当初のメンバーのうち、ヴァイオリンのキャロライン・キャンベルは家族の事情により脱退、チェロのクリスティーナ・レイコ・クーパーは体調不良で来日せず、代役の出演となりました。メンバー4人中2人交代という異常事態ですが、どうせ知らない人ばかりですので、メンバーが代っても私には分かりません。ただ、4人のメンバーは、いずれもスタイル抜群の美女揃いであり、視覚的には何の問題もありません。
前半は、ピアノ独奏が1曲あったほかは、4人での演奏でした。クラリネット奏者がメンバー紹介をし、和気藹々とした雰囲気を感じさせました。しかし、大きなホールにまばらな客ということで、がっかり感はあったことでしょう。
最初ピアノの音が響きすぎて、他の楽器との音量が合わず、アンサンブルとしての良さが全く感じられず、今後の展開が危惧されましたが、次第に聴くほうの耳も慣れてきました。
3曲目では、最初はステージ上はピアノとチェロだけで、演奏しながらステージ右からクラリネット、左からヴァイオリンが登場するという演出もあり、工夫はしているようでした。
各奏者は実力者揃いのようで、個別的には良い音を出しているのですが、4人のアンサンブルとなりますと、どうにもきれいには感じません。変則的な楽器編成と曲調が合わないように感じましたが、編曲が良くないものと思います。
休憩後の後半は、ラメ入りのキラキラしたセクシードレスに衣裳替えして登場。曲調もあってか、編曲も良くて、音楽を気分良く楽しめました。
おなじみのチャルダッシュは猛スピードで飛ばしましたが、艶のあるヴァイオリンの音色が美しかったです。楽器は1732年製のガルネリ・デル・ジェスとのことで、豊潤で良い音を出していました。このヴァイオリンのバイチさんは一番良かったです。
アンコールのオブリビオンをしっとりと演奏して終演となりましたが、後半は良かったものの、全体としては内容的にはイマイチだったように思います。名曲コンサートということで、気軽に楽しめましたが、特別に感動することもなく、ちょっと白けた気分で聴いていました。
全く知らないグループで、期待と不安が半々でしたが、結果は予想通りということでしょうか。ビジュアルで楽しめましたから良しとしましょう。
(客席:2階D5-26、B席、当日券:500円増しで¥3500) |