暮らしっく広場2014 Kammer 〜ハープと奏でるアンサンブルの響き〜
←前  次→
2014年8月9日(土) 14:00  西新潟市民会館
 
ハープ:奥田恭子、フルート:中林恭子、ヴァイオリン:佐々木友子、チェロ:宇野哲之
 



ハイドン:フルート、ヴァイオリン、チェロのための6つの三重奏曲第2番 ト長調 Hob.IV:7
        第1楽章

ドビュッシー:「小組曲」より 「小舟にて」

ゴドフロア:ヴェニスの謝肉祭

ラヴェル:ヴァイオリンとチェロのためのソナタ 第2・4楽章

シュポア:ヴァイオリン、チェロとハープのための三重奏曲 ホ短調 第3楽章

ドビュッシー:フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ 第1・3楽章

 
 

 新潟大学教育学部音楽科では、これまでも様々な企画のコンサートを開催してきましたが、昨年からは、学生と地域が連携しながら音楽活動を創り上げる取り組みとして、西区役所との共催により、「暮らしっく広場」というコンサートを企画しています。2年目の今年は、「再発見! 〜世界音楽紀行〜」と題して、世界各国の音楽から、タンゴ、室内楽、オペラ、邦楽を取り上げ、全部で5公演開催されます。
 今日は、そのPart3 Kammer(室内)ということで、室内楽が取り上げられました。ハープ、フルート、ヴァイオリン、チェロという珍しい組み合わせも興味深いところです。

 台風が接近し、これから荒れ模様が予想されています。どんよりとして天候が落ち着かない土曜日になってしまいましたが、嵐の前の静けさか、まだ風雨にはなっていません。せっかく今日は休みをいただきましたので、このコンサートに出かけることにしました。

 本当は、「新潟中央高等学校管弦楽部・コーラス部ジョイントコンサート」に行く予定にしていたのですが、このホームページをご覧いただいているK様より、このコンサートに行けなくなったので、代わりに行ってくれないかとのご連絡を受け、熟慮の末、こちらを選択しました。
 中央高校のコンサートは、以前何度か聴いて感激し、今回も楽しみではあったのですが、私の地元である西区でのイベントということで、盛り上げに協力すべくこちらを選択した次第です。中央高校の方は他の方がレポートするでしょうから、私はこちらを担当させていただきます。

 受付でひとりずつ氏名を確認して入場。私はK様の名前で入場させていただきました。観客のほとんどはオバサマ方で、男性はごくわずかしかいません。ちょっと肩身が狭かったです。
 このホールは初めてですが、よくある平土間の多目的ホールで、可動席で300席設置されていました。ステージに音響反射板はなく、響きの乏しさが予想されましたので、できるだけ前方ということで、2列目正面に席を取りました。前の席は空席でしたので、実質最前列で聴かせていただきました。

 薄グリーンのドレスの中林さん、ベージュ色のドレスの佐々木さん、青シャツの宇野さんが登場して、ハイドンの三重奏曲で開演しました。ソフトな響きが心地良く、コンサートの導入には良い曲であり、良い演奏でした。
 中林さんのフルートは何度か聴かせていただいていますが、柔らかな音色で、安定感ある響きが魅力です。佐々木さんは、先週ブルッフのコンチェルトを聴いたばかりであり、アクティブな活動ぶりには頭が下がります。そしてダンディな宇野さん。落ち着きがあって良いですね。

 中林さんのMCがあって、続いては薄紫色のドレスの奥田さんが登場。中林さん奥田さんによる「小舟にて」が演奏されました。美しいメロディとハーモニー、情感溢れるフルートの調べにうっとりと聴き入りました。

 続いて、奥田さんによるハープの解説と、観客によるハープ演奏の体験コーナーがありました。40kgのハープを抱えながら、足で7つのペダルを3段階に踏む苦労などが実演を交えて聞けて面白かったです。

 その後は奥田さんのハープ独奏で、「ヴェニスの謝肉祭」。さすがに国内外のコンクールに優勝しただけあり、圧巻の演奏でした。こんな実力者が新潟で音楽教室の講師をしているなんてもったいなく感じました。

 佐々木さんのMCがあって、次はヴァイオリンとチェロの二重奏です。現代的・前衛的は曲で、2つの楽器がせめぎあい、ぶつかりあう激しい演奏で、正直言ってびっくりしました。一般向きとは言い難いこんな演奏を、この場で聴けるなんて大きな収穫でした。

 次は宇野さんのMCの後、ヴァイオリン、チェロ、ハープの三重奏が演奏されました。シュポアのこの曲は全く初めて聴く曲であり、3つの楽器のハーモニーが心地良かったです。ここでも奥田さんのハープが光っていました。

 中林さんのMCがあって、最後はフルート、ヴィオラ、ハープの三重奏です。佐々木さんはヴィオラに持ち替えての演奏です。いかにもドビュッシーというような、幻想的で色彩感がある演奏で、3人のハーモニーが美しく、聴き応えある演奏でした。

 最後は宇野さんも登場してアンコールかと思ったのですが、アンコールなしで終演となりました。しかし、休憩なしで80分に及ぶ内容豊富なコンサートでした。チラシ等からは市民向けの名曲コンサートかと予想していたのですが、内容はヘビーであり、予想は覆されました。日頃聴けないような珍しい曲が並び、通好みともいえそうな充実した内容でした。

 学生教育の一環で、学生の企画・運営で開催されましたが、ステージ転換もてきぱきとしており、運営も良かったです。こんな素晴らしいコンサートを無料で聴けて、ありがたく思います。

 9月6日は「Bravo!」と題して、鈴木愛美さんらによるオペラの名曲、10月4日は「和楽」と題して、薫風之音の皆さん他による演奏が予定されています。いずれも黒埼市民会館が会場です。お近くの方にはお勧めします。申し込み方法はチラシやHPでご確認ください。
  


(客席:B-7、無料)