名人たちのはじめてクラシック
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2007年7月16日(月) 16:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
 
ビゼー/ボルヌ:カルメン・ファンタジー
       フルート:高木綾子、ピアノ:藤井一興

ショパン:序奏と華麗なるポロネーズ
       チェロ:藤森亮一、ピアノ:藤井一興

ヘンデル:オンブラマイフ
カンパニョーリ:?
       ヴィオラ:店村眞積、ピアノ:藤井一興

サラサーテ:ホタ・ナバーラ
       ヴァイオリン:大谷康子、長原幸太、ピアノ:藤井一興

サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
       ヴァイオリン:大谷康子、ピアノ:藤井一興

モンティ:チャールダッシュ
       ヴァイオリン:大谷康子、ピアノ:藤井一興

(休憩20分)

サン=サーンス:動物の謝肉祭
       ヴァイオリン:大谷康子、長原幸太、ヴィオラ:店村眞積、
       チェロ:藤森亮一、コントラバス:西田直文
       フルート:高木綾子、クラリネット:近藤千花子、
       ピアノ:藤井一興、永田郁代、打楽器:和田光世

(アンコール)
動物の謝肉祭より終曲

 
 

 「ジュニアのための鑑賞コンサート」と題され、はじめてクラシックを聴く人を対象としたコンサートです。ジュニアじゃないシニアが参加して良いのかとためらわれましたが、出演者の顔ぶれの豪華さを見ると行かずにはいられません。江戸家子猫の物まねと語り付きとあって、大いに楽しみにしていました。ところが新潟県中越沖地震が襲来。私の住む新潟市西区も大揺れ。激しい縦揺れのあと、船に乗ったような大きな横揺れが1分近く続きました。柏崎方面では甚大な被害が出ており、こんな時にコンサートでもあるまいと思われました。出演者も来れずに中止に違いないと思いながらもりゅーとぴあへ行ってみたところ、開催されるとのことでした。しかし、江戸家子猫は出演できず、希望者には払い戻しするとの案内がありました。

 そんな悪条件ではありますが、会場は家族連れで賑わっていました。メインの子猫師匠が来ないとあって、残された出演者は大あわてだったと思います。ピアノの藤井さんが代役で司会進行をして大活躍でした。

 地震の影響ということで10分遅れで開演。前半は各出演者による小品の演奏です。さすがに日本を代表する奏者たち。それぞれがすばらしい演奏を聴かせてくれました。新婚の高木さんの美しい容姿にも勝るフルートの音色の美しさ、心打つ藤森さんのチェロの音。店村さんはプログラムにないカンパニョーリの曲も演奏してくれました。そして、真っ赤なドレスが妖艶な大谷さんと長原さんのヴァイオリンの掛け合いの妙。前半は大谷さんのツィゴイネルワイゼンで終了のはずでしたが、藤井さんがステージに再登場し、ピアノを弾き始めました。何の曲かなあと思っていたら、1階席の左手の入り口から大谷さんが出てきて演奏を始めました。曲はチャールダッシュ。1階席をくまなく回って演奏し、最後にステージに上がって締めました。これで盛り上がらないはずはありません。何というサービスの良さ。子猫師匠の穴埋めは十分です。

 後半はメインの動物の謝肉祭です。演奏前にりゅーとぴあの担当者からお詫びの挨拶がありました。子猫師匠は何とか終演までに駆けつけようと手を尽くしていたそうです。羽田から札幌経由で空路新潟入りを試みたそうですが、札幌まで行ったところで新潟への飛行機に乗れなかったそうです。また、コントラバスの西田さんは越後湯沢からタクシーで駆けつけたそうです。最後の最後まで努力されていたことは頭が下がります。
 ということで、子猫師匠なしで演奏が始まりました。前半同様に藤井さんが1曲毎に曲目解説と出演者へのインタビューをしながら演奏が進みました。台本もない中、何とか盛り上げようとする藤井さんの熱意が伝わってきます。しかし、あえて難をいうなら、ユニークな口調の藤井さんの楽しい話は面白かったですが、曲が細切れになったのは残念でした。しかし、演奏は一級品でした。特に藤森さんの白鳥は絶品でした。アンコールに終曲がもう一回演奏され、コンサートは終了しました。

 全く予期せぬアクシデントに見舞われながら、何とかコンサートを成し遂げたことは拍手を贈りましょう。子猫師匠の名演を聴けず、本来のコンサートの魅力の半分も味わえなかったと思いますが、各出演者の熱演が帳消しにしてくれました。まさに名人たちのコンサートでした。これからもこのような企画があるといいなあ・・。
 

(客席:2階C4-13、大人1800円:会員割引)