NHK交響楽団演奏会 | |
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1999年10月1日(金)18:30 新潟県民会館 大ホール | |
指揮:エマニュエル・クリヴィヌ ヴァイオリン:堀米ゆず子 |
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サン=サーンス:交響詩「死の舞踏」作品40 (休憩) |
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新潟地震の復興記念に建設され、長らく新潟市唯一のホールとして活躍していた新潟県民会館も、築後30年以上経って老朽化が進んでいました。 新潟市民芸術文化会館の開館と前後して、昨年秋から休館して大改修工事が行われていましたが、この度完工し、そのリニューアル記念演奏会の第一弾です。 改修工事の基本は耐震性を増すための工事だったといいますが、座席は全面的に取り替えられ、座席数を160以上も減らして、ゆったりと鑑賞できるよう配慮したとのことです。 オーケストラを聴くという立場で言えば市民芸術文化会館で聴きたいところですが、ここは新潟県主催の公演ですので仕方ありません。新装なった県民会館を見に行くことにしましょう。 18時30分の開演ですので、仕事を早めに抜け出して車をとばして駆けつけました。県民会館そのものは昔のまま。狭いホールのホワイエもそのまま。椅子は確かに新しくなっていますが、それほどのゆったり感はありません。左右は若干広がったのでしょうけれど、昔とそう変わらないような印象です。前後の狭さは昔のまま。シートは堅めで、ちょっとお尻が痛くなりました。席は2階席4列目なので悪くはないはずです。 さて、「死の舞踏」でコンサートの開始です。当たり障りなく無難にまとめたという演奏でした。最初はこんなものかなと納得。 次は堀米ゆず子さん登場。黒と白の地味な衣装です。まずは「詩曲」。私と同年代ですから、さすがに年輪を重ねられたなというご様子です。 メランコリックに流麗に音楽が流れ、N響の弦楽の美しさも光ります。叙情的なこの曲の美しさを実感させる演奏でした。振り返って、本日で一番良かった演目であったように思います。 次いで「ツィガーヌ」。今度は力強く、情熱的な演奏でした。柔と剛、2つの音楽を楽しませてくれました。 休憩のあとは、「シェエラザード」。新潟では、昨年末ゲルギエフ/キーロフ歌劇場管で演奏され、そのときの印象がいまだに心に残っています。 さて、ゆっくりとしたテンポで演奏が始まります。だんだん盛り上がるだろうと思いながら第一楽章が終わりました。その後もゆっくりしたテンポで進みます。像の行進のような重い演奏です。重厚な、ブラームスのシンフォニーでも聴くような演奏です。ムーディーに演奏してもらいたい第三楽章も重たく感じました。終楽章で若干の盛り上がりを見せましたが、終始重苦しい演奏で、音楽が流れませんでした。デッドなホールの響きが欲求不満を助長しました。アンコールがまた気持ちを逆なでするような曲であり、演奏でした。 鳴らないオケ、響かないホール、盛り上がらない聴衆。ちょっと不満な演奏会でした。ただし、堀米さんの演奏は良かったです。 N響は毎年新潟で演奏会を行っています。来年はいい演奏を聴かせてくれるかな。指揮者にもよるのでしょうが。それにしても県民会館は、椅子は変わりましたが、響きは良くないです。市民芸術文化会館の響きに慣れたせいかもしれません。ホールも楽器なのだということを実感させられます。また、空調の音がうるさいのも困りもの。ここは多目的ホールとして活用すればいいのだろうと思います。 蛇足ではありますが、毎度のことながら、困った聴衆がおられました。アラーム時計くらいならかわいいもの。今日は、2階席に音声付きの時計を持参された方がおられました。曲の途中「只今から7時をお知らせします・・・」、あっけにとられ、音の方向を見ると、ガサゴソとスイッチを切っています。眼が不自由な方なのかな、スイッチを切り忘れたんだな、とそのときは同情の眼差し。しかし、後半のシェエラザードのバイオリンソロの大事なときに、今度は「只今から8時をお知らせします・・・」。ホール内に鳴り響いてしまいました。同じあやまちを2度までも・・・。それもこんな大事なときに・・・。その他にもバッグのチャックを開け閉めしている人、小銭を数えている人など今回はバラエティに富んで、いろんな方々が目に付きました。 ホールを出るとともに雨が降り出しました。今日はついていない日だなと悔やみながら、駐車場へ走っていきました。 (客席:2階4-32、A席:¥5000) |