私の音楽遍歴ハード篇



 音楽を楽しむには当然ながらハードが必要です。昔からお金はありませんでしたから高額な器械は買うことはできず、各時代それぞれに安物で聴いていました。その中でいかに音楽を楽しむか工夫していましたし、新しいもの好きでもありました。
 多少の経済的余裕のできた現在も安物には変わりありません。住宅事情から大型機器は買えませんし、大きな音も出せません。学生時代使っていた大型機に比べたらおもちゃみたいな器機で聴いています。低音が出ないと不満がありますが、10cmのウーハーじゃねえ・・。オーディオルームを持つのが若い頃の夢でしたが、結局叶うことなくこの年になってしまいました。しょせんCDはCD。生の音にかなうわけがありません。ということでコンサート通いしてます。強烈なフォルテシシモもさることながら、全くの無音というのも家庭では味わえません。

第1期(中学生)
卓上ステレオ
 小学生の頃、我が家には小さなレコードプレーヤーが1台あったきり。中学生になって自分用のレコードプレーヤーを買ってもらいました。ビクターのスピーカー分離型のプレーヤーで、一応はステレオ再生ですが、スピーカーボックスもプラスチック製のおもちゃみたいなものです。ターンテーブルは17cm、カートリッジはクリスタル型。音質調整はHighとLowの切り替えがあるのみ。数千円程度。新潟市の小林百貨店(現在の三越)で買ってもらいました。
 音質は卓上プレーヤーの音。低音は全く出ません。いわゆる「ステレオ」を持っている友人がうらやましかったです。当時はフロア型の家具のような大型ステレオの全盛時代でした。友人宅で聴いたベンチャーズのベースの音にカルチャーショックを受けました。
 何とか音質を向上させようと、ミカン箱に昔のラジオを分解して取り出したスピーカーを取り付けて自作のスピーカーを作りましたが、ひどい音でした。ちなみに、当時、ミカンやリンゴは木箱に入って売っていました。

ラジカセ
 ナショナルのラジカセを中学生時代に買ってもらいました。定価が確か24800円。AM/FMラジオ付き。もちろんモノーラルでしたが、上記の卓上ステレオよりいい音でした。

その他
 中学生時代はラジオに興味があり、愛読書は「初歩のラジオ」、「ラジオの製作」。ゲルマニウム・ラジオに始まって、トランジスターラジオを作ったり、真空管ラジオ(五球スーパー)を作ったりしました。国内のいろんなラジオ局を聞いて、電波状態などを報告し、カードをもらうBCLを楽しんだりもしていました。


聴いていた音楽
 当初はクラシックにも興味があり、初めて買ったLPは「ハイファイ・カラヤン」というカラヤンのサンプル盤でした。当時子供でもカラヤンの名前は知っていましたし、たまたま安く売っていたので買っただけでした。2枚目はイ・ムジチの四季。ミケルッチ盤です。四季の絵が描かれたジャケットがきれいでした。
 クラシックはその後興味を失い、サイモン&ガーファンクル、カーペンターズをはじめ、洋楽一般を聴くようになりました。ラジオで洋楽のベストテンを聴いて、気に入ったシングル盤を買ったりしていました。
 世間ではフォークが流行っていて、フォークギターを弾ける人はクラスの人気者でした。吉田拓郎の「結婚しようよ」や「夏休み」などを歌っていたクラスメートをうらめしく眺めていました。
 
第2期(高校生)
小型ステレオ
 高校に入学して、少しはまともな小型ステレオを買ってもらいました。コロンビアの小型ステレオです。プレーヤー、レシーバー、スピーカーが分離されているもので、形だけはコンポーネント・ステレオもどきでしたが、実は安物です。それでも卓上ステレオとは別次元の音に感じました。新潟駅前の石丸電気で買いましたが、一番始めの2階建ての古い店舗の時代です。今は駐車場になっています。
 プレーヤーはオートリターン/オートカット付き。スピーカーは16cmの2ウェイ型。当時流行のボイスチェンジャー付きでした。これは歌手の声と自分の声を入れ替えるというもので、カラオケが出る前に流行りました。
 屋根の上に自分で東京に向けてFMアンテナを立て、FM東京を雑音の中で聞いたりしていました。民放FMのなかった当時、ジェットストリ−ムを何とか聞こうと試行錯誤していました。

カセットデッキ
 ソニー TC-2020。定価29800円。ソニーで最も安い品物で、平置き型です。フェライト・ヘッド(F&F)、クロームテープ(クロミカセット)を使用できるテープセレクター付き。テープが終わるとメカが自動停止するオートシャットオフ機構採用。着脱可能なダストカバー付き。スライド式の録音ボリュームがかっこよかったですが、イジェクトボタンを押すとカセットが飛び出るのは安っぽかったです。ドルビーは付いていませんでした。

4チャンネルステレオ
 中学〜高校時代(70年代)は4チャンネル・ステレオの全盛時代でした。山水が開発したマトリックス式、ビクターの開発した完全分離型(ディスクリート型)のCD-4、そしてソニーの開発したSQ方式などがありました。しかし、デコーダーや特別なシステムなど買えない学生は、スピーカー結線で疑似4チャンネルを作り出すスピーカーマトリックスで楽しんでいました。私も接続ボックスを作り、抵抗を加えることで、残響豊かなホールサラウンド、周囲に定位するサラウンドを切り替えられるシステムで遊んでいましたが、結構楽しめました。

聴いていた音楽
 洋楽専門でしたが、サンタナに目覚め、フォーカスやアバも好きでした。高校からの帰り道、ツモリ・レコード、名曲堂に寄っていました。
 
第3期(大学生)
コンポーネント・ステレオ
 アルバイトで収入があったりしたので、安物ではありましたが、いろいろ取りそろえました。当時石丸電気やダイエーの電気製品売り場が充実していました。

アンプ:パイオニア SA-8800
チューナー:トリオ KT-7500
プレーヤー:パイオニア PLA-215S、テクニクス SL-1301
カートリッジ:シュア、エンパイヤー、オーデイオ・テクニカ
カセットデッキ:ソニー TC-K5、Lo-D D90S
オープンデッキ:アカイ 400DS
スピーカー:オンキョー M-6、自作バックロードホーン
4チャンネル・デコーダー:ケンクラフト(キット)

聴いていた音楽
 クラシックに突然目覚め、いろんな曲を聴きあさりました。石丸電気に入り浸り。当時石丸のクラシック売り場にいた店員さんが現在コンチェルトを経営されています。
 一方キャンディーズにも心酔し、ジャズも聴いていました。

その他
 現在は当たり前ですが、テレビ放送がステレオ化されました。パイオニアのテレビチューナーを買いましたが、スイッチで選局できましたが、それぞれの局を手動で選局して設定する完成度の低いものでした。
 キャンディーズの解散コンサートがテレビ放送されたとき、ビデオデッキはまだ夢の存在。テレビ音声をラジカセで録音していました。その後金を貯めてシャープの一番安価なVHSビデオ・デッキを買いましたが、当時120分ビデオテープは、1本が定価3900円。特売で2000円で買ったテープを大事に使っていました。
 
第4期(社会人)

VHD
 「絵の出るレコード」は長年の夢でしたが、パイオニアのレーザーディスクは高嶺の花。その後コストダウンが図られ、手の届く価格になりましたが、発売はパイオニア1社のみ。その頃レーザーディスクに対抗して、ビクター/松下連合がVHDを発売しました。光り輝くレーザーディスクに比して、VHDはカートリッジに入っていて中身は見えません。非接触方式・光学式のレーザーに比して、VHDは静電容量方式・接触式。LPの延長のような印象で、魅力が乏しく感じられましたが、パイオニアが孤軍奮闘するレーザーに比して、VHDは国内各社が参加。VHDの圧勝になるものと予想しましたし、ソフトもVHDが魅力的で、私の好きなオードリー・ヘップバーン作品は当初VHDでしか発売されていませんでしたから、ナショナルのDP-450というVHDを買いました。しかし、使い勝手が悪く、カートリッジに入ったディスクの重さも欠点でした。画質はVHS並みで良くありませんでした。

レーザーディスク
 その後、ソニーからパイオニアからのOEMでレーザーディスクが発売されたりなど、レーザーが少しずつ普及していきました。やはり光学式のイメージは良かったです。私もソニーが自社生産の第1号(LDP-505)を発売したときにそれを買いました。なかなかいい製品で、リモコンの使い勝手が良かったことは記憶しています。

CDプレーヤー
 1982年10月にCDプレーヤーが発売されましたが、私も少し遅れて購入しました。SONYのCDP-302ES。

VHSデッキ
 当時の最高峰と言われたビクターのHE-D725を買いました。VHS-HiFiの初期のフラッグシップ機種で、ノーマル音声もステレオでドルビーまで付いていました。
 その後ナショナルの当時の最高機種NV-1000HDも買いました。ジョグダイヤルを初めて搭載し、コマドリもできるという優れものでした。

AVアンプ  
 アンプもAVアンプに変え、パイオニアのA-V1200を買いました。FMチューナーはケンウッドのKT-880Fでした。

サラウンドプッロセッサー
 NECのAV-250というもの。ドルビーサラウンド、マトリックスサラウンド、ホールサラウンドなど3種類のサラウンド効果が得られ、リモコン付きでした。

 LPからCDへあっという間に切り替わり、私の興味もAVへと変化しました。Adult Video じゃなくて Audio Visual ですので念のため。レンタルビデオも始まって、映画をサラウンドで楽しんでいました。
 

第5期(単身赴任生活)
 結婚し、生活に追われ、もはやオーディオどころではありませんでした。度々の引っ越しで、かさばるステレオは処分してしまいました。ゴミとして処分しちゃったのはもったいなかったです。今ならネットオークションに出すんですけど。古いジャンク品でも高く取引されていますものねえ・・。
 単身赴任となり、近くのディスカウント・ストアでソニーの小型ステレオを買いました。CDのほかダブルカセット付き。小型ながらもいい音は出していましたが、数年で壊れてしまいました。その後オンキョーのFR-V77を買い、現在も使用中です。これも単身赴任生活を終えての引っ越しに際してハードオフに売ろうとしたのですが、あまりの安さに売りませんでした。今なおいい音を出しています。家内用に最新型のFRシリーズを買ったのですが、旧機種の方が音はむしろ良いように感じます。
 
第6期(現在)

 その後久しぶりにLPを聴きたくなり、実家の倉庫に預けてあったLPを自宅に引き取りました。昔のアナログプレーヤーなどは捨ててしまいましたから、オーディオテクニカのプレーヤーAT-PL30を購入し、FRにつないでいます。昔のプレーヤーに慣れ親しんだ者にとっては、AT-PL30のおもちゃみたいなメカは心許なく思えるのですが、音はいいようです。
 ベッドサイド用に、ケンウッドのラジカセもどきのCD/MDステレオ(LCA-5MD)を使っていたのですが、音質に耐えられなくなり、最近新しいシステムを購入しました。CDレシーバーがオンキョー CR-D1、スピーカーがオンキョー D112Eの組み合わせです。引き締まったいい音なのですが、小型スピーカーのため低音不足は否めません。そこで、ハードオフでデノンの DSW-33XG というサブウーハを安く買って使用中です。これは拾い物でした。

 引っ越しに際して、VHDディスクは捨ててしまいましたが、レーザーディスクだけは捨てずにいました。最近突然レーザーディスクが見たくなり、近所のハードオフでパイオニアのレーザーディスク・プレーヤーを安く買いました。急に思い立って買ってしまったのですが、DVDに慣れてしまうと巨大な30cmのディスクは扱いにくいですし、画質もイマイチですからまたお蔵入りになりそうです。
 

(2008.8.31)