神経内科とは?


 私は神経内科医をしております。ただし、神経内科という診療科をご存じない方が多く、寂しい思いをすることも度々です。精神科と混同されることがあまりに多いのです。精神科が従来、精神神経科とか神経科とかいっていたため、神経内科もそのたぐいと誤解されているようです。神経内科とは、神経系の病気をみる内科です。あくまでも内科の一分野です。神経とは中枢神経、末梢神経という意味での神経であって、精神という意味ではありません。神経内科は、英語ではneurologyといいます。直訳すれば神経科なのですが、精神科が神経科という名前を使っていたので、神経内科となったのです。
 循環器疾患をみる内科は循環器科、呼吸器疾患をみる内科は呼吸器科、消化器疾患をみる内科は消化器科といいます。そして神経系の病気をみる内科が神経科といきたいところですが、上記の理由で神経内科なのです。さらには、神経系の病気を外科的手段で治療するのが脳神経外科、内科的に治療するのが神経内科です。誤解をさけるために、脳神経内科と標榜している病院もありますし、あくまで内科としての看板しか出していない病院や大学もあります。
 さて、神経内科の扱う領域は、中枢神経系(脳や脊髄)、末梢神経系(運動神経、感覚神経、自律神経)、そして筋肉です。精神的問題は精神科の領域ですが、二次的な精神症状は対応します。歴史的に精神科が扱うことが多かったてんかんは、神経内科でも扱います。てんかんは決して精神病ではありません。頸椎や腰椎の病気で、外科的治療を要しない人は神経内科の領域です。
 具体的な病気としては、脳血管障害が数としてはメインであり、その他いわゆる神経難病などをみます。

 

こんな症状の人はご相談下さい

  頭が痛い。首筋や肩が痛む。手足がしびれる。感覚が鈍い。
  力が入らない。めまいがする。夜眠れない。  など。

病気の種類としては

1.脳や脊髄の病気
   脳梗塞、脳出血、片頭痛、てんかん、パーキンソン病、
   脊髄小脳変性症、髄膜炎、多発性硬化症、筋萎縮性側索
   硬化症、老人性痴呆、脳性麻痺 など。

2.末梢神経の病気
   神経痛(三叉神経痛、坐骨神経痛など)、多発神経炎、
   ギラン・バレー症候群 など。

3.筋肉の病気
   多発性筋炎、筋ジストロフィー、重症筋無力症 など。

4.その他
   頚椎症、腰椎症、いわゆる自律神経失調症、不眠症 など。

(注)明らかに精神的問題のある場合(分裂病、神経症、そうう
   つ病など)は、精神科を受診して下さい。

  しばしば、精神科と間違われますが、
  脳や末梢神経、筋肉などをみる内科です。