冬の冷やし中華
私は、ちょっと病気をして、入院生活をしばらく送っていました。そのとき4人部屋の隣のベッドに、骨肉腫の青年(当時私と同年代でした)がいました。足を切断し、その痛みに苦しんでいました。隣同志ということで、仲良くしていましたが、やがて腫瘍は全身に転移し間もなく亡くなられてしまいました。
その彼が、家族が何か食べたいものはないかと尋ねたとき、冷やし中華を食べたいといいました。外はまだ雪の季節。現在は冬でも冷やし中華をメニューに出している店も多くなりましたが、当時は皆無。でもご家族は冷やし中華を持ってきました。麺とビール瓶に入ったスープ。とても苦労されたことでしょう。我が子を思う親の気持ちに、涙が出ます。青年はおいしいと喜んで食べました。しかし、全部食べ干すだけの体力はなく、私がおこぼれちょうだいとなったわけです。これはおいしかったなあ。入院生活はつらい経験でしたが、いろんな体験ができ、良き思い出に代わっています。
彼の分までおいしい冷やし中華を食べまくるぞ!
1998年12月