2002年 片貝まつりを振り返って


 今年も夏の花火シーズンの終わりを告げる片貝まつりが開催されました。毎年花火番附が発表されると、血が騒ぎ出します。昨年は、地元の「はなび@片貝」さんからご招待いだいておりましたが、所用で行くことができず、大変残念でした。今年も、7日〜9日と、仕事で出かけており、行けるかどうか予定が立たない状況でした。今年も「はなび@片貝」さんからご招待いただいており、今年こそは何とかして行きたいものと気持ちはあせっていました。

 番附を見ると、今年は、2尺玉1発、3尺玉6発、4尺2発と、世情を反映してか、大型花火の数が少ないのが気になります。9日は、20:45に3尺玉、20:58に2尺玉、21:20に33歳(翔心会)の3尺玉2連発、21:40に還暦(朗志会)の大スターマイン、そして22:00に4尺玉です。10日は、14:00に古希(和光会)の真昼の3尺玉、20:45に3尺玉、21:00に50歳(つどい会)の超特大スターマイン、21:15に42歳(福寿會)の大仕掛スターマイン、21:30に3尺玉、21:45に成人(焦聖会:
焦は口へん付き)の大仕掛大スターマイン、そして22:00に4尺玉という構成です。やはり、片貝花火の神髄は4尺玉ではなく、還暦の花火だと毎年主張してきた私としましては、9日は何としても行かねばなりません。

 さて、9日、出先から職場に帰り、雑用を片づけ、何とか行けそうなので、小千谷への峠道を車で飛ばしました。19時前に、片貝の町に近づくと渋滞です。高速道脇に駐車し、露天で賑わう街の中を急いで「はなび@片貝」さんの家に伺いました。ちょうど皆さんが桟敷へ向かわれるときで、グッドタイミングでした。そして、そこには私のホームページの掲示板でおなじみの、「牧」さんと「かずひろ」さんがおられるではありませんか。初めてお会いするのに、旧友に会ったような感慨があり、感激しました。これも「はなび@片貝」さんのお陰ですので、感謝にたえません。
 
 みんな連れだって浅原神社に向かいます。ぎっしり立ち並ぶ露天、身動きできないほどの人垣、祭囃子の笛・太鼓、一升瓶を片手にはね回る若者達・・。これが片貝まつりなんだと実感します。人をかき分け、浅原神社奥の桟敷席へと向かいました。「はなび@片貝」さんが用意してくれた桟敷は、中央(黄色席)の最前列という特等席。遮るものは何もありません。今年は、NHKの連続テレビ小説のロケが行われるということで、桟敷の照明が例年より明るいようでした。
 
 19:30を回って打上の開始です。いつものアナウンス嬢の名調子も健在。一発一発に思い、願いが込められた片貝の花火は、このアナウンスを聴かないと面白さが半減です。片貝の花火は尺玉が基本。5号、7号という花火もそれだけ見ている限りはいいのですが、尺玉の中に混じると、音、大きさとも見劣りしてしまいます。デジカメに収めようと撮影を開始しましたが、何せ桟敷最前列、尺玉は頭上で開花します。ズームを広角側にしてもはみ出てしまいます。今日は写真はほどほどにして、花火を楽しむことにしました。
 「かずひろ」さんはビデオ撮影をされていましたから、近々ホームページにアップされることでしょう。「かずひろ」さんのホームページを見ると、花火は静止画より動画だと実感します。花火写真って、みんな長時間露光されたもので、きれいな写真ではあっても、瞬間瞬間で変化する花火の真の姿じゃありませんよね。やっぱり動画です。編集はかなりのご苦労だとうかがいましたが、楽しみにしています。

20:45の3尺玉

21:20 3尺玉2連発

 さて、プログラムが進むにつれ、桟敷も賑わい、酔っぱらってつぶれちゃう人もいて大騒ぎです。多少のプログラムの変更があって打上が進みます。NHKの連続テレビ小説のヒロインの挨拶まであって、盛り上がりは最高潮です。
 20:45の最初の3尺玉はきれいに開花。打上場所が遠くなるので、大きさの実感は減りますが、音が違います。20:58の2尺玉はちょっと迫力不足かな。21:09、我らが「はなび@片貝」さんの尺玉連発で、桟敷は大いに盛り上がり、一同万歳で祝福です。21:20の33歳厄年満願の
翔心会の皆様の3尺玉2連発も見事に花開きました。

 そして、21:40、いよいよ還暦の花火です。私はこれが楽しみで片貝に来ているようなもの。これはたとえようにないすばらしさ、金冠の競演です。これが片貝、これぞ還暦の華。陶酔の中、これでもかと金冠尺玉が尾を引きながら天高く打ち上がります。そして最後は尺玉10発同時打ちで締められました。言葉では言い表せませんが、番附の紹介文で雰囲気をお伝えしましょう。
 
「片貝を語るとき そこに花火がある ー今宵魂の花火を仕掛けますー
先掛尺玉三発同時打上 祝・還暦 物故同級生追善供養 朗志会員の健康祈願 団結を誇る朗志会 天まで届けこの轟きを
尺玉六十発入り 超大型スターマイン 前代未聞 超迫力 後打一斉 尺玉十発同時打上  (朗志会)」

 

 帰りの時間が気になる私は、ここで桟敷とはお別れです。お立ち台から、還暦「朗志会」の皆さんがお囃子と共に退場されるところでした。「すばらしい花火をありがとう」と心で叫びながら、桟敷を後にしました。浅原神社脇では、3尺玉2連発を上げた翔心会の皆さんも、3尺玉をかたどった山車と共に引き上げるところでした。
 露天の雑踏をかき分け、家並みを抜けると、ちょうど4尺玉のサイレンが鳴り響きました。振り返ると、尾を引きながら4尺玉は見事に打ち上がり、轟音と共に光の雨を浅原の杜に降り注いでいました。その姿を瞼に焼き付け、車へと猛ダッシュ。4尺玉終了と共に車が一斉に動き出すので、このタイミングが肝心です。何とか渋滞を避けて、柏崎への峠道に進むことができました。


 さて、明けて10日、地元紙の新潟日報では、昨夜の4尺玉の写真が1面を飾っていました。本日は14時に古希(和光会)の真昼の3尺玉がありますが、平日の昼間、見ることはかないません。本業多忙で、昼食は15時。あわただしい業務が一息つき、時計を見ると18時を回っています。さあて、どしたものか。今日はおとなしくしていようと考えていましたが、何だか体がウズウズ。気がつけば小千谷への峠道を車を走らせていました。
 
 片貝に近づくと、渋滞してきましたが、思ったほどではありませんでした。いつもの関越道脇に駐車し、浅原神社へと向かいました。ついでにライトアップされた花火打上筒のモニュメントを見学し、露天の立ち並ぶ片貝の通りに繰り出しました。祭囃子にホイッスル、若者達が掛け声と共に跳びはねています。この若者達がこれからの片貝まつりを担っていくのかと思うと「頑張れよ!」と拍手したくなります。片貝中学校の同期生が会を作り、人生の節目に花火を奉納するのが片貝まつり。昔は生徒の数が多かったものの、最近は数が減ってきていると聞きました。200人で上げるのと100人で上げるのとでは、花火の規模、個人の負担とも違ってくるのも当然です。少子化、過疎化に向かって、どのように維持していくのかちょっと心配になったりします。まあ、よそ者の余計な心配ですね。

 人混みをかき分け、浅原神社にたどり着きましたが、今日は、さすがに、ちょっと覗いて早めに切り上げようと思い、桟敷には行かないで、境内の人混みの中をうろついていました。神社で木遣りを唄い奉納する人たち、社殿上空で炸裂する花火。杉木立の間から垣間見える尺玉の光。桟敷とは違った趣があります。露店で買った肉の串焼き(生焼けだけど美味しかった)をほおばりながら歩いていると、ちょうど50歳つどい会の皆さんがやってきました。さすがに50歳、跳びはねている若者とは違って落ち着きがあります。静かな中に、秘めた情熱を感じました。

 露天で夕食代わりの食料を仕入れ、土産物売り場を覗きます。いつも4尺玉の模型(大:5000円、中:3000円、小:2000円)が欲しいなあと思いながら見ていますが、未だに買っていません。あられ入りの花火模型は買ったことは何度かありますが。木遣りのCDとか、藍染めとか、片貝ゆかりの品々が並らんでいますので、今度行かれる方はご覧になられると良いと思います。
 
 雑踏を抜け、時々後ろを振り返りながら道を進みます。家並みの間から見える花火もきれいです。道路脇や玄関先で見ておられる方々も多数おられます。片貝バイパス先の、少し離れた見晴らしの良い道路脇に腰掛け、腹ごしらえ。ホルモン焼きのモツが噛み切れなくって大変。
 難渋しているとき、ちょうど20:45の3尺玉が上がりました。これは美しく花開き、巨大な金色の光の帯を、浅原の山に降り注いでいました。これは最近見た3尺玉の中でも、最もきれいに感じました。桟敷で見ますと、すぐ近くで打ち上がる尺玉に比して、3尺玉、4尺玉は打上場所がかなり離れてしまうため、花火の大きさの実感が意外にも乏しいように思いますが、少し離れた場所から見てみると、その大きさの違いが実感されます。

 さて、モツはあきらめ、野菜を拾って食べていると、今度は、21:00打上の、浅原神社で出会った50歳つどい会の皆さんのスターマインです。還暦の金色と並んで、50歳は銀色と、お決まりのパターンですが、豪快で色彩感もあり、美しい花火でした。
 そろそろ帰ろうかと車に向かい、車に着くと、21:15、42歳福寿會の厄年満願の花火が打ち上がりました。最初の放射状に打ち上がる趣向は新鮮であり、印象深いスターマインでした。
 その後も、3尺玉、成人の花火、そして4尺玉と控えていましたが、今日は早めに帰宅したかったので、帰路に就きました。きっとすばらしい花火だったに違いありません。私の頭の中で、成人のカラフルで若々しい花火が花開き、4尺玉が轟音と共に打ち上がっていました。
 伝え聞くところによりますと、私が見なかった最後の3尺玉も、4尺玉も、見事に花開いたとのことでした。全ての大玉がきれいに打ち上がったのは久し振りじゃないでしょうか。天候も最高でした。毎年こうだといいのですが・・。いくら奉納が目的だと言っても、雲の中の3尺、光しか分からない4尺なんてもったいないですものね。
 
 遠くから見るだけでは、片貝まつりのすばらしさは分かりません。単発花火中心で、スターマインの少ない片貝の花火を物足りないと思われる方もあるかも知れません。技術的な点はよく分かりませんが、時々「オーッ」と感じる花火も多数あります。しかし、主体は金冠、大柳火、銀山錦。片貝では凝った芯物よりも、とにかく豪快に開く花火が好まれます。片貝まつりは個人の奉納花火です。奉納者にとってはその一発に思いを乗せて、魂を込めているのです。一発一発に込められた思いを知れば、花火玉のできがどうのと論じるのは意味がなく、観光気分で見るなど失礼に思われてしまいます。皆さんも、是非片貝の町、浅原神社に足を運び、祭りの熱気の中に身を投じてください。どうして熱狂的ファンが多いか実感できることでしょう。さらには、花火を奉納すれば感動はひとしおでしょう。

 稲穂は頭を垂れ、祭りが終われば稲刈りです。もう秋。来年を楽しみに、仕事を頑張りましょう。