(1)地域医療、社会支援の整備
人的支援:保健婦、ヘルパー、ホームドクター、ボランティア
経済的支援:医療機器・福祉機器の交付、医療費補助、公共料金減免
精神的支援:生きがい対策、病気(死)と直面する患者・家族に対する支援
在宅生活を継続するには人的・経済的支援が欠かせません。具体的には、介護者の確保、それを支える経済力が現実的には必要となります。進行し医療的処置が必要になると、地域医療の支援なしではやれなくなります。また、生きがい、QOLについても十分検討しないと在宅の意味がありません。
(2)教育的処遇
多くの場合、歩行不能をきっかけとして、普通校から養護学校へと転校しています。しかし、これには介護の問題、心理的問題、親の意識、学校の受け止め方などいろいろな問題が含まれます。養護学校入学は療養所入所を意味し、家族や社会から隔絶されることを意味します。患児の残された人生を考えたとき、多感な時期をどのような環境で送るのがよいのか、再検討する必要があろうと思われます。
普通学校への障害児受け入れがされつつありますが、現実的には、地域・学校による較差が大きいです。障害児受け入れのための環境整備(スロープ設置、トイレ改造、エレベーター・階段昇降機設置など)、介助員の配置などは市町村による差が大きく、行政や教育委員会、学校長の考え方次第で、受けられるサービスに差が出ているのが実状である。
また、学校の授業では体育、給食当番など単に見学だけということが多いのですが、体育にしても、審判や記録係など残された機能で何かできるものを見つけ、クラスの一員として参加できるような指導が望まれます。
(3)日本筋ジストロフィー協会
筋ジストロフィーの歴史ある患者団体があります。会員数約3000人で活発な活動を続けています。各都道府県に支部があり、新潟県支部は当院「希望の家」内にあります。患者・家族の療養相談、生活指導、検診など行っています。新潟県においても、訪問検診、集団検診が毎年行われており、当院も協力しています。パソコンネットワーク「夢の扉」も運営しています。
(4)当院筋ジス専門外来について
毎週火曜日、在宅の筋ジス患者さんの専門外来を設けています。医師の診察だけでなく、PT・OTによる運動・生活指導、看護婦による介護指導、指導員による学校や福祉問題に関する相談などを行っています。依頼があれば、家庭や学校に訪問して助言・指導も行っています。