神経伝導速度
nerve conduction velocity : NCV
神経伝導に関する予備知識
末梢神経線維:有髄神経;跳躍伝導−速く伝導
無髄神経 −遅い
一般に、神経伝導速度は太い神経ほど速い。
子供の神経は、髄鞘形成が未熟で、3歳位で大人のレベルに追いつく。
高齢になると遅くなる。
※末梢神経は、ほとんどが混合神経である。
※運動神経のみ調べたいとき:筋肉の活動電位(M波)で調べる。
神経を電気刺激したとき、M波を形成させるのは当然ながら運動神経である。
M波は非常に大きな電位(数mV)であり、記録は容易である。
M:Magdarely(神経生理学者)のM、あるいは、MuscleのM。
M波=複合筋活動電位:compound muscle action potential(CMAP)
※知覚神経のみ調べたいとき:運動神経の行っていない部位で調べる。
例えば、指など。
(指で刺激;知覚神経のみ刺激されると予想される。)
(指で記録;知覚神経の活動電位のみ記録される。はずである。)
しかし、神経の活動電位はM波に比べれば非常に小さな電位
(数マイクロボルト)であり、通常のやりかたでは検出できない。
→平均加算法の利用。
※一般に SCV>MCV
※後述するように、MCV、SCVは神経束のさまざまな神経線維のうち、
一番速い大径有髄線維を反映するものであり、他の線維の異常は知り得ない。
したがって伝導速度が正常であるからといって、末梢神経障害はないとは言い
切れない。
神経伝導検査の目的
電気刺激により生じた神経の活動電位の伝導のしかたを検討することにより、
その神経の障害の有無、程度、部位などを診断する。
対象疾患
末梢神経が障害される種々の疾患。
polyneuropathy, Guillain-Barre syndrome, motor neuron disease,
entrapment neuropathy etc.
注意点
神経伝導速度の数字自体は、興奮伝導のひとつの側面を示すにすぎない。
振幅、遠位潜時、波形変化、刺激閾値など総合的に考えなければならない。
伝導速度の数字は便宜的なものであり、その数字だけで判断してはならない。