白山祝祭管弦楽団は、新潟市ジュニアオーケストラ教室の卒団生により2023年8月に結成され、2024年8月に第1回定期演奏会が開催されました。
今年は第2回定期演奏会が開催されるものと思っていたのですが、定期演奏会ではなく室内楽演奏会となっていました。人数が集まらず、オケの編成ができなかったため、室内楽演奏会になったものと推測しますが、実際はいかがでしょうか。
何はともあれ、新潟市ジュニアオーケストラ教室をこよなく愛する私としましては、OBによる演奏会も応援しないわけにはいきません。今回は室内楽演奏会ではありますが、応援の意味も含めて楽しませていただきたいと思います。
今日は月曜日ですが、山の日の休日です。ゆっくりと昼食を摂り、家を出ました。バイパス経由で、家から信号4つで、快適に江南区文化会館に到着しました。駐車場は無料ですし、距離を別にすれば便利なホールです。
開場まで時間がありましたので、図書館で時間調整して、開場とともに入場しました。ステージ中央にはスタインウェイと譜面台が2台が設置されていました。
開演時間となりましたが、客の入りはちょっと寂しかったように思います。今日のプログラムは、前半の第1部は有志によるアンサンブル演奏で、後半の第2部が小規模の室内管弦楽団としての演奏です。
まず最初に、音楽監督の永峰さんが登場して挨拶があり、今日のプログラムのテーマは「祈り」であり、「祈り」に関連した曲を選曲したとのことでした。
そして長峰さんの「祈り」に関しての思いをいろいろと話してくれました。団員は2日間練習して、今日の本番に臨んだとのことでしたが、どんな演奏が聴けますでしょうか。
永峰さんが下がって、第1部が開演しました。まずは、ピアノ伴奏とともにトロンボーン二重奏です。東日本大震災の祈りの曲という高嶋圭子の「春の呼ぶ声を聞く」が演奏されました。
第1楽章の「夜明け」は、まさに夜明けの情景が目に浮かぶような導入部に始まり、哀愁を感じさせるしっとりとした美しいメロディにうっとりし、大きく感情を高ぶらせて感動を誘いました。
第2楽章の「風」は、少し激しく音楽が始まり、後半はゆったりと雄大に、そして再び激しく情熱的に歌い上げました。
第3楽章の「桜 〜三春滝桜に寄せて〜」は、ピアノの前奏に始まり、美しメロディを奏で、爽やかに情感豊かに歌い、胸を締め付けるような感傷的な歌に切なくなりました。ジブリの映画音楽のように心にダイレクトに迫り、泣かせる音楽とともに祈りを捧げました。
トロンボーンの演奏を、これほど濃密に聴いたことはこれまでになかったように思われます。いい音楽をいい演奏で聴けて良かったです。トロンボーンのふくよかなサウンドが心地良く感じられました。
ピアノが片付けられて椅子が4脚並べられて、続いてはホルン四重奏で、チェレプニンの「6つの小品」よりの5曲です。
第1曲「夜」は、ゆったりと穏やかに始まり、ふくよかな厚いサウンドにうっとりしました。第2曲「古いドイツの歌」は、2人ずつ呼応するように始まり、ゆったりと歌い上げました。第3曲「狩」は、軽快にラッパを鳴り響かせて狩りをする情景が思い浮かびました。第4曲「踊り子たち」は、軽快なステップで明るくダンスを踊りました。第5曲「大衆歌」は、最初はソロで雄大に歌い、二重奏が受け継ぎ、三重奏となり、四重奏となりました。ゆったりと朗々と歌って曲が終わりました。ホルンの四重奏をたっぷりと聴けた貴重なプログラムでした。
最後は弦楽四重奏で、ポロディンの弦楽四重奏曲第2番の第1楽章です。弦楽四重奏の名曲ですので、聴きなじみがあります。
少し怪しげな音で始まるも、次第に熱を帯びて、ゆらぎながらも緊張感を保ち、哀愁に満ちた祈りの音楽を聴かせてくれました。終盤になるにつれ、次第に安定感を増していき、しっとりとした情感の中に曲は終わりました。
休憩時間にステージには椅子がずらりと並べられ、後半の第2部が開演しました。最初はシベリウスの「アンダンテ・フェスティーヴォ」です。弦楽アンサンブルとティンパニによる演奏で、弦の編成は
3-3-3-3-1 です。
永峰さんがタブレットを持って登場しました。指揮者がタブレットの楽譜を使うのは初めて見ました。この曲はつい最近、北区フィルの演奏を聴いたばかりですが、美しい弦楽アンサンブルに新鮮な感動をいただきました。
小編成で音の厚みには欠けましたが、少し速めのテンポで、流麗に歌い、最後にティンパニが加わって、壮大に曲を終えました。北区フィルの厚いサウンドにはかないませんが、美しい演奏でした。
管楽器が加わって、続いてはラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」です。管はフルート1、オーボエ1、ホルン3、トロンボーン1という通常はない編成のため、永峰さんが編曲した特別バージョンでの演奏です。
弦のピチカートともにフルートがメロディを美しく奏で、オーボエが加わり演奏が進みました。この小編成のアンサンブルにも関わらず、ホルンは3本使用され、異様に目立っていました。ちょっと違和感のあるサウンドでしたが、しっとりと祈りの音楽を楽しむことができました。
トロンボーンが下がって、最後はハイドンの交響曲第13番です。驚いたことに永峰さんがホルンを持って登場し、指揮者の場所ではなく、ホルンの席に座り、ホルンは永峰さんが加わって4人になりました。指揮者なしで演奏が始まりました。
第1楽章は、颯爽と始まり、美しい弦楽アンサンブルに驚きました。これまでとは見違えるような生き生きとした音楽が生み出され、これまでと同じメンバーだとは信じがたかったです。さすがに4本のホルンは強すぎに感じましたが、躍動感に溢れる音楽は気持ち良かったです。
第2楽章は、チェロのソロで始まり、ゆったりと、しっとりと演奏が進みました。チェロ協奏曲の緩徐楽章かと思うほどにチェロのソロが延々と続き、そのソロは次第に安定感を増して、ブラボーを贈りたくなりました。
第3楽章は、快活に始まり、ティンパニとともに生き生きと演奏が進み、フルートが爽やかに歌いました。このフルートが良かったです。そして力強くリズムを刻んで楽章が終わりました。
第4楽章は、颯爽と始まり、スピード感とともに走り抜けました。疾走感が気持ち良く、気分爽快です。躍動感に胸が高鳴り、ぐいぐいと突き進み、感動のフィナーレとなりました。
これは聴き応えのある演奏で、今日の演奏会のメインにふさわしい渾身の演奏でした。チェロのソロとフルートの美しさが目立っていましたが、永峰さんはこの二人を真っ先に起立させて、素晴らしいパフォーマンスを讃えました。
ホールに大きな感動をもたらして、大きな拍手が贈られました。最後には今日の出演者全員がステージに呼び出されて、大きな拍手が贈られました。アンコールなしで終演になりましたが、内容豊富な演奏会であり、大きな満足感をいただきました。
2日間の全体練習でここまでの演奏を仕上げてくれたのはたいしたものですね。新潟市ジュニアオーケストラ教室時代からの永峰さんとの厚い信頼関係が伝わってきました。卒団して何年も経ってもつながり合っているというのは凄いことだと思います。
来年の9月22日にはいよいよ第2回定期演奏会がりゅーとぴあ・コンサートホールで開催されます。曲目はわかりませんが、大いに期待したいと思います。
大きな満足感とともに帰宅の途につきましたが、帰り道のバイパスは、いつもより交通量が少なく、渋滞もなく、20分かからずに帰宅できました。
雨は上がって青空も雲間から見えていました。これからお盆を迎えますが、天候が回復してくれることを祈ります。
(客席:5-10、¥800) |