新潟室内合奏団第90回演奏会 | |
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2024年11月10日(日)14:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール | |
指揮:喜古恵理香 ヴァイオリン:佐々木友子 |
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メンデルスゾーン:序曲「美しいメルジーネの物語」op.32 チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35 (休憩15分) メンデルスゾーン:交響曲第1番 ハ短調 op.11 (アンコール) ドヴォルザーク:スラブ舞曲 第2集 第2番 op.72-2 |
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今日は、だいしほくえつホールでの 佐藤晴真さんのリサイタル、マルタケホールでのTrio Elepix 、長岡でのオペラコンサート、南魚沼での新日本フィルの公演など、興味深いコンサートがいくつも重なってしまいました。 特に佐藤晴真さんの演奏は是非とも聴きたかったのですが、新潟室内合奏団の記念すべき第90回の演奏会で、ソリストとして佐々木友子さんが出演されますので、これも聴かないわけにはいきません。今年4月の第89回演奏会(指揮:神成大輝)に引き続いて聴かせていただくことにしました。 今回のプログラムは、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は名曲中の名曲ですが、メンデルスゾーンの序曲「美しいメルジーネの物語」は全く聴いたことがありませんし、後半のメンデルスゾーンの交響曲第1番もCDは持っているものの聴かず嫌いで、実演で聴くのは初めてです。せっかくの機会ですので、大いに楽しませていただこうと思います。 さて、このところ演奏会の指揮者が毎回違っているのですが、今日の指揮者は喜古恵理香さんで、2022年11月の第86回演奏会以来の出演になります。 喜古さんは全国で活躍されていますが、11月8日の関西フィルの演奏会を終えての新潟入りです。美しきマエストラに期待が高まります。 一方、ソリストの佐々木さんは、新潟の地で活発に活動されていますので、改めて紹介するまでもないですが、英国王立音楽院で学んだ実力者であり、これまで数々の演奏を聴かせていただいています。 ちなみに、佐々木さんは私の生まれた亀田のご出身で、私の義兄の親戚ですので、血縁は全くないですが、関係がないわけでもありません。どうでもいいのですが。 ということで、チケットを買ったのですが、今日は午前中に某市での仕事が入っていて、どうしようかと悩ましい状況の中に、今日の日を迎えました。 今週末は天候に恵まれて、今日も朝から青空が広がって、過ごしやすい日曜日になりました。某市での仕事は予定通りに昼前に終わり、余裕をもって出かけることができました。 仕事を終えて、パンをかじりながら車を進め、白山公園駐車場に車をとめました。日差しが気持ち良く、青空をバックに紅葉が美しく映えていて、公園を散策しながら穏やかな晩秋を味わいました。 りゅーとぴあに入り、東ロビーで休憩しているうちに開場時間となり、入場して2階正面に席を取りました。3階席は使用されませんでしたが、開演時間が近付くに連れて席は埋まり、それなりの入りでしょうか。 開演時間となり、拍手の中に団員が入場しました。弦は通常の配置で、弦5部は、6-6-6-6-2 で、コンサートマスターは、井口 歩さんです。 喜古さんが登場して、1曲目は、メンデルスゾーンの序曲「美しいメルジーネの物語」です。24歳のときに作曲した演奏会用序曲だそうで、同じ年に交響曲第4番「イタリア」が作曲されたそうです。 「メルジーネ」といっても、私には何のことかわかりませんが、フランスの伝承上の存在で、様々な作家が取り上げているんだそうです。メンデルスゾーンもこの物語を題材にした台本によるオペラに触発されて、この曲を書いたそうです。 美しい木管に始まり、弦が加わって、ゆったりと音楽が流れ出ました。曲調が変わって、ティンパニとともに緊迫感を生み、嵐の如く激しくリズムを刻みました。その後、静と動を繰り返し、せめぎ合い、再びの穏やかさの中に、曲は終わりました。 管のメンバーが入れ替わり、ステージが整えられ、白いドレスの佐々木さんが喜古さんとともに登場して、いよいよチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲です。 柔らかな弦の序奏に導かれて、ティンパニと管が加わって、ゆったりと、堂々と、音量豊かに佐々木さんのヴァイオリンが響き渡りました。 朗々と歌わせて、風格すら感じさせ、鳥肌が立つような静寂と緊張感の中で奏でられた長大なカデンツアも見事であり、ステージに音楽の神が舞い降りてきたかのようでした。 バックを支えるオケも、喜古さんに導かれて熱く燃え、どんどんと熱量を上げて、スピードアップし、火傷しそうな熱気にとともにフィナーレへと突き進み、聴衆に感動を誘いました。 我慢し切れなかった一人の聴衆が拍手をし、それに誘われて拍手が沸きあがりました。この演奏を前にすれば楽章間拍手も頷けます。 柔らかな木管とともに第2楽章へ。しっとりと、ゆったりとヴァイオリンを歌わせて、バックのオケのアンサンブルも美しく、極上の音楽が響き渡りました。 つなぎのメロディが流れて、ティンパニとともに第3楽章へ。熱く燃えるオケとともに、ヴァイオリンはパワーを増していきます。途中の緩徐部では朗々と、ゆったりと歌わせて、急と緩を繰り返し、エネルギーを蓄えてギアチェンジし、オケとヴァイオリンとが競い合いながら、アクセル全開で止まることなくスピードアップ、パワーアップし、怒涛のフィナーレへと突き進みました。 こんな演奏を聴かされては興奮しないわけにはいきません。ブラボーの声とともに、大きな拍手が贈られて、熱い演奏を讃えました。 佐々木さんの演奏も、喜古さんとともに燃え上がったオケも素晴らしく、新潟のアマオケと、新潟在住の音楽家とで、これほどの演奏を作り上げるなんて、すごいなあと思わざるを得ませんでした。大きな満足感とともに前半が終わりました。 休憩を終えて、後半はメンデルスゾーンの交響曲第1番です。拍手の中に団員が入場しましたが、先ほど熱い演奏を披露してくれたばかりの佐々木さんも、黒い衣裳に着替えてヴァイオリンの末席に着かれておられました。このオケの指導者とはいえ、お疲れ様です。 喜古さんが登場して、演奏開始です。第1楽章は、ティンパニとともに緊張感の中に始まりました。その後、明るくゆったりと歌い、再び最初の緊張感に回帰しました。急と緩を繰り返し、生き生きとした躍動感のある音楽が流れ出ました。小休止の後、スピードアップ、パワーアップし、力強く楽章を閉じました。 第2楽章は、美しい弦楽アンサンブルで始まり、美しい管とともにゆったりと歌い、安らぎを与えてくれました。なんて美しいんだろうと、うっとりしながら音楽に身を委ねました。 第3楽章は、ティンパニとともに力強くリズムを刻み、秘めた情熱をみなぎらせ、中間部では、ゆったりと穏やかに歌わせました。静けさの中から、再び激しくリズムを刻み、力強く楽章を終えました。 第4楽章は、速いパッセージで始まり、そのままスピード感、エネルギー感を保ちながら突き進み、緩徐部では弦のピチカートに載せて木管が美しく歌い、急・緩を繰り返して、弦がフーガ風に力強くメロディを奏で、高らかに凱歌を上げて、感動のフナーレを迎えました。 メンデルスゾーンが15歳のときの作品だそうですが、素晴らしい曲ですね。スピード感、躍動感に溢れる曲を、見事に具現化し、オケの素晴らしさを再認識しました。切れがあるキビキビした演奏であり、喜古さんに煽られて、乱れることなく全力疾走するオケに感嘆しました。前半のチャイコフスキーの感動も薄れてしまうような熱い演奏に胸が高鳴り、力の限りに拍手を贈りました。 カーテンコールが繰り返されて、喜古さんに花束が贈られて、アンコールにドヴォルザークのスラブ舞曲第2番が演奏されて、感動と興奮の演奏会は終演となりました。 期待以上の素晴らしい演奏に、大きな満足感とともにホールを後にしました。外に出ますと、穏やかな晩秋の夕暮れが迫っていました。気持ちいいですねえ・・。 (客席:2階C2-9、\1000) |