北区フィルハーモニー管弦楽団第11回定期演奏会
  ←前  次→
2023年6月18日(日) 14:00 新潟市北区文化会館
指揮:長谷川正規
ゲストコンサートマスター:平山真紀子
 
(プレコンサート)
パーカッション演奏:曲目不詳
弦楽四重奏:シューベルト弦楽四重奏曲第13番 第2楽章

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

シューベルト:劇音楽「ロザムンデ」序曲 D.644

ヘンデル:組曲「水上の音楽」(ハーティ版)

(休憩15分)

チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 Op.36

(アンコール)
チャイコフスキー:「白鳥の湖」第2幕よりの2曲

 梅雨の中休みで、天候に恵まれた週末を迎えました。その分暑さが厳しいですが、青空が気持ちよいですね。県内各地でたくさんのイベントが行われており、どこも賑わいをみせていることでしょう。

 音楽関係でも、今週末はたくさんの公演が行われていますが、今日の新潟市は、新潟交響楽団第110回定期演奏会と北区フィルハーモニー管弦楽団第11回定期演奏会が同時刻に開催され、悩ましい日曜日になりました。

 ベートーヴェンの交響曲第2番とラフマニノフの交響曲第2番という2番を並べた新潟交響楽団に行って、ラフマニノフの甘美なメロディに埋もれたい気持ちもありましたが、結成当初から応援している私としましては、北区フィルも外すことができません。
 新潟の音楽ファンの多くは新潟交響楽団に行くでしょうから、私はあえて北区フィルに行くことにしました。2021年も新潟交響楽団の定期演奏会と北区フィルの定期演奏会が重なり、このときは先にチケットを買っていた新潟交響楽団を選びましたので、今回は北区フィルを選択しました。
 日時がずれてくれたら両方行けるのですけれど、こればかりは仕方ないですね。音楽ファンとしましては、楽団同士が情報共有して、かち合わないよう配慮していただけるとありがたいです。

 さて、北区フィルの昨年12月の第11回ファミリーコンサートは、東響新潟定期と重なって聴きに行けませんでしたので、昨年6月の第10回定期演奏会以来1年ぶりになります。このときは終演とともに大急ぎでりゅーとぴあへ移動し、17時からの東響新潟定期に駆け込みましたが、まさにぎりぎりの離れ業でした。今回は次の予定はなく、ゆっくりと聴かせていただきたいと思います。

 さて、定期演奏会の後半に演奏されるメインの曲目は、第1回がベートーヴェンの交響曲第6番「田園」、第2回がドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」、第3回がベートーヴェンの交響曲第7番、第4回がブラームスの交響曲第2番、第5回がベートーヴェンの交響曲第5番「運命」、第6回がチャイコフスキーの交響曲第5番、第7回がドヴォルザークのチェロ協奏曲、第8回がベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」、第9回がブラームスの交響曲第1番、第10回がドヴォルザークの交響曲第8番と続き、今回はチャイコフスキーの交響曲第4番です。毎回期待を裏切らない熱い演奏を聴かせてくれており、今回も大いに楽しませていただこうと思います。

 ゆっくりと休日の午前を過ごし、寂しく昼食を摂って家を出ました。バイパスを快適に走り、35分ほどで順調に北区文化会館に到着しました。
 13時10分頃に館内に入りますと既に開場の列が伸びており、私もその列に並びました。ほどなくして13時15分の開場時間となり、ホールの中ほどに席を取り、この原稿を書きなから開演を待ちました。

 13時30分になり、チラシには案内がなかったプレコンサートが始まりました。ステージ左袖で男女2人によりパーカッションの演奏が始まり、掛け声も加えての激しいリズムに息を呑みました。
 続いてステージ右袖で弦楽四重奏の演奏が始まりました。本日1曲目の「ロザムンデ」にちなんでの選曲と思いますが、シューベルトの弦楽四重奏曲が演奏され、柔らかな音楽にうっとりしました。

 開演時間となり団員が入場。ゲストコンマスの平山さんも他の団員と一緒に入場し、コンマスの礼は省略されてチューニングになりました。
 長谷川さんが登場して、1曲目はシューベルトの「ロザムンデ」序曲です。第3幕の間奏曲はよく聴きますが、序曲を日頃聴く機会はありません。
 最初の全奏音を聴いて、さすが北区フィルと感激しました。劇的な曲を、重厚に激しく迫力いっぱいに演奏し、いきなりの聴き応えある音楽がホールを満たし、心地よい疲労感を感じました。

 2曲目は、ヘンデルの「水上の音楽」です。ホルンのファンファーレが鳴り響く重厚感ある出だしに始まり、粗さを感じさせながらも演奏に引き込まれました。その後の第2曲は爽やかにゆったりと演奏。第3曲、4曲は軽快に、第5曲はしっとりと物悲しく、そして終曲を明るく華やかに演奏して曲を締めました。
 聴かせどころの多いホルン、トランペットが頑張ってくれ、ティンパニもうまくアクセントを付けてくれて、曲を引き締めました。ヘンデルといいますと、バロック的な軽めな印象を勝手に持っているのですが、重厚なオーケストラ曲として楽しませていただきました。

 休憩後の後半は、いよいよチャイコフスキーの交響曲第4番です。弦はいわゆる10型の小型の編成ですので、この曲をどう演奏するのか心配していたのですが、全く杞憂に終わり、迫力いっぱいの演奏で楽しませてくれました。
 第1楽章冒頭のホルンのファンファーレとそれに続く金管の咆哮がバッチリと決まって、今日の演奏のすばらしさが確約されました。途中息切れがあったりはありましたが、良くまとまっていたと思います。
 私が勝手に聴かせどころと思っている木管のメロディの受け渡しもそつなくこなしていました。激しく燃え上がる終盤も、コンマスの平山さんと最後尾に座る助演の小島さんが弦楽合奏をまとめ上げて、少ない人数にも関わらず、圧倒的なパワーをもたらしました。
 第2楽章冒頭のクラリネットソロもうまくこなしてくれて、しっとりした情感に溢れる楽章をうっとりと聴き入りました。第3楽章のピチカートも素晴らしく、そして、怒涛の第4楽章へ突入。個人的には、アタッカで行ってほしかったですが、ひと呼吸置きました。
 ホールを飽和させるようなフォルテシモの大音量と、力いっぱいの迫力ある演奏に気分も爽快でした。どんどんとエネルギーを増して、興奮と感動のフィナーレへと突進し、大爆発して演奏を終えました。
 小型のオケではありますが、程よいホールの大きさもあり、音量も十分。エネルギー溢れる演奏に、ホールは熱く燃え上がりました。

 渾身の演奏を披露してくれたオケに大きな拍手が贈られ、長谷川さんと平山さんに花束が贈呈されました。長谷川さんの挨拶があって、アンコールにチャイコフスキーつながりで「白鳥の湖」からの2曲が静かに演奏されて演奏会は終演となりました。

 長谷川さんの指揮は、全身を使ったエネルギッシュな指揮ではなく、上半身だけの淡々とした印象の指揮なのですが、そこから生み出される音楽はエネルギーに満ちており、ホールいっぱいに感動をもたらしました。
 アマオケですので、当然ながら演奏のミスやアンサンブルのほころびはありますが、演奏技術を論じることなど意味を成さない生き生きとした音楽がそこにありました。この感動と喜びはプロもアマも関係ありません。期待にたがわぬ演奏を毎回聴かせてくれる北区フィルの魅力を再認識しました。これからも陰ながら応援させていただきたいと思います。
 次回は、12月10日(日)に第12回ファミリーコンサートが開催されます。他の公演と重ならないことを今から心配しています。

 大きな喜びと満足感をいただいてホールを後にしました。帰りは競馬場ICを経由せず海老ヶ瀬IC経由のショートカットの道で帰り、家まで28.5km、35分、渋滞もなく快適なドライブで帰宅できました。

 

(客席: 14-9、¥1000)