スペイン・バルセロナのサグラダ・ファミリア教会の礼拝堂でオルガニストを務めているスペイン人オルガニスト、ファン・デ・ラ・ルビアさんの演奏会です。
りゅーとぴあが誇る大オルガンは、スペインのグレンツィング社製ですが、昨年のオーバーホール時に、グレンツィング社のオルガン技術者が紹介してくれたのがファン・デ・ラ・ルビアさんだそうです。今回が初来日で、新潟だけでの単独コンサートだそうです。
快晴の爽やかな土曜日。上古町の某所で昼食を摂り、りゅーとぴあに入りますと、開場待ちの列が既に長く伸びていました。なかなかの盛況で何よりです。
開場となり、オルガンのときの私の定席である3階Jブロックに席を取りました。開演が近付くとともに席は埋まり、正面席はびっしり。かなりの集客となりました。
前半はスペインの音楽です。ヒメネスのバッターリャで開演しました。バッターリャ(戦い)という曲名通りに、賑やかな激しい曲で、圧倒されました。
続くカベソンの「騎士の歌によるディフェレンシャス」は、一転して、静かでゆったりとした音楽で、憂いを秘めた爽やかな音楽に癒されました。
続いては、ソレールのソナタが2曲演奏されました。舞曲風で、軽やかな親しみやすいメロディが耳に良く馴染みました。楽しげに踊る様子が目に浮かぶような明るい曲に、心もウキウキするようでした。オルガンからこんなにも軽やかな楽しいメロディが奏でられるなんて、驚きを感じました。
前半最後はグリーディの「10のバスクの旋律」です。曲名通りに、バスク地方の民謡を元にした親しみやすい曲で、喜びや悲しみなど、多彩なメロディで楽しませてくれました。
前半は初めての曲ばかりでしたが、親しみやすい音楽ばかりで、楽しく聴かせていただきました。オルガンというと、重厚で深刻ぶった印象がありますが、これまで聴いたことがない明るく多彩な音色で楽しませてくれました。
休憩後の後半は、有名なバッハの「パッサカリアとフーガ」で開演しました。これも私が勝手に抱いていたバッハのオルガン音楽のイメージを覆すもので、明るく爽やかな音楽でした。続く「わが魂は主をあがめ」は物悲しくしっとりと心に訴えました。
続いてはメンデルスゾーンのオルガン・ソナタ。全4楽章からなる曲ですが、各楽章の対比も鮮やかに、絢爛豪華、これぞオルガンというような豊潤な響きで楽しませてくれました。
そして、トゥルヌミールのコラール即興曲。即興演奏したものを、弟子のデュリュフレが録音を元に、譜に復元したものだそうです。明るく元気、活き活きとした音楽はロックテイストを感じさせ、別世界へとトリップするかのようでした。
最後は、即興演奏。ルビアさんの真骨頂でしょうか。シンプルなメロディに始まり、ラテン系といいますか、明るい曲調で、変幻自在に形を変えながら、壮大な音楽を創り上げました。
アンコールは、「ふるさと」のメロディを元にした即興演奏。これも素晴らしいものでした。お馴染みの曲が雄大なオルガン曲に変貌していく一期一会の演奏に接した喜びを感じました。
鳴り止まない拍手に応えて2曲目はバッハの「小フーガ ト短調」。これは今日のコンサートを象徴する演奏だったと思います。こんなにも明るく、スウィングするような演奏は初めてです。南国の太陽の光の下で、バッハが日光浴しているような、そんな情景を思い起こさせる演奏でした。感動と興奮の中にコンサートは終演となりました。
これほどまでに、明るい気分にさせてくれるオルガンコンサートは初めてに思います。生き生きと、スキップして走り回るような元気をいただきました。こういう感覚を抱いたのは私だけではないと思われ、オルガンコンサートでは珍しく、ブラボーの声も上がっていました。
終演後にはサイン会が行われ、長い列ができていました。日本では無名ながらも、このように素晴らしい演奏者を見い出し、招聘したりゅーとぴあの皆さんにも拍手を贈りたいと思います。
(客席:3階 J3-14、会員割引:¥2700) |