栄長敬子ピアノリサイタル2019
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2019年3月31日(日) 14:00 新潟市音楽文化会館
 
ピアノ:栄長敬子
ゲスト:相原一智
 


ベートーヴェン:ピアノソナタ第23番 ヘ短調 作品57 「熱情」

ベートーヴェン:ピアノソナタ第31番 変イ長調 作品110

(休憩20分)

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 作品73 「皇帝」(2台ピアノ版)
         オーケストラパート:相原一智

(アンコール)
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」第1楽章 (連弾)
ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番「悲愴」第2楽章

 栄長さんは2005年から「ピアノソナタからベートーヴェンを聴く」というテーマでコンサートを開催しており、昨年までで10回になります。今回はその集大成的な意味での特別なプログラムが組まれたようです。
 栄長さんの演奏は、これまでいろんな場面で何度も聴かせていただいていますが、正式なリサイタルとしてはこれまで聴いたことはなく、この機会に聴かせていただくことにしました。

 東響ロビーコンサートを終えて、急ぎ足で音楽文化会館に到着しました。既に開場されていましたが、まだ客席は埋まっておらず、前方のほど良い場所に席を取ることができました。

 開演時間となり、鮮やかなライトグリーンのドレス姿が麗しい永長さんが登場。背中がちょっとセクシーで、いつもより更に美しいお姿にうっとりしました。

 前半はベートーヴェンのピアノソナタが2曲演奏されました。中期と後期のピアノソナタからそれぞれ1曲ずつ選んだとのことです。

 最初はピアノソナタ第23番「熱情」です。ベートーヴェンのピアノソナタの中でも最も人気がある曲であり、おのずと演奏機会も多く、つい最近でも、2週間前に小林浩子さんのリサイタルで聴いたばかりです。栄長さんの内に秘めた情熱が、やがてメラメラと燃え上がり、興奮を誘いました。なかなかの熱演だったと思います。

 ここで永長さんのお話があり、2曲目のピアノソナタ第31番が演奏されました。ピアノに疎い私は、副題が付いていないソナタは聴く機会が少なく、この曲も数枚のCDは持っていても、じっくり聴くことはなかったのですが、曲の魅力を知らしめてくれる、引き込まれるような演奏でした。静から動へ。竜巻のように立ち昇るフーガの興奮の中にフィナーレを迎えました。曲の良さを再認識できてよかったです。


 休憩後の後半は相原さんを迎えて、2台ピアノによる「皇帝」です。オケパートを一手に引き受けた相原さんの活躍もあって、聴き応え十分なエネルギー感溢れるコンチェルトを創り出しました。2台ピアノ版でも十分に楽しめるというのは名曲ならではと思いますが、二人の演奏の素晴らしさがあってのことと思います。

 アンコールはピアノ連弾による「運命」です。今日の東響定期の演目を意識したそうですが、これも聴き応えある演奏で、迫力十分。聴衆を盛り上げるには十分過ぎるものでした。否応なく興奮させられました。

 そして、最後はデザート的に「悲愴」の第2楽章を演奏して、爽やかな感動の中に終演となりました。

 栄長さんの魅力が存分に示された素晴らしいコンサートだったと思います。特に後半は圧巻でした。栄長さんの新たな魅力に出会い、興奮と感動の幸せなひと時でした。もちろん共演の相原さんにもブラボーを贈りたいと思います。

 内容豊富なコンサートに大きな満足感をいただき、東響定期を聴くべくりゅーとぴあへと移動しました。

 

(客席:8-9、¥3000)