東京交響楽団第100回新潟定期演奏会
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2017年3月19日(日)17:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:飯森範親
コンサートマスター:グレブ・ニキティン
 
レスピーギ:交響詩「ローマの噴水」
     T 夜明けのジュリア谷の噴水
     U 朝のトリトンの噴水
     V 昼のトレヴィの噴水
     W たそがれのメディチ荘の噴水

レスピーギ:交響詩「ローマの松」
     T ボルゲーゼ荘の松
     U カタコンベ付近の松
     V ジャニコロの松
     W アッピア街道の松

(休憩20分)

レスピーギ:交響詩「ローマの祭」
     T チルチェンセス
     U 五十年祭
     V 十月祭
     W 主顕祭

 ロビーコンサートの後、少し休憩して、メールで申し込みしていたハーサルを見学しました。当初は1時間の予定でしたが、前日の川崎定期演奏会ですばらしい演奏をしたとのことで、オルガンやバンダ、鳥のさえずりやマンドリンの音量やバランスを確認する程度で、20分程で終わってしまいました。
 時間的にはちょっともの足りなかったですが、オルガンやバンダが加わった一番の聴きどころを聴けて良かったということにしましょう。ちなみにオルガンは遠目で良く見えなかったですが、山本真希さんでしょうか。

 時間がかなり空いてしまいましたので、6階ラウンジで休憩をとり、本番に臨みました。今回は第100回という記念すべき演奏会です。私も最初からの定期会員であり、過ぎ去った年月の重みを感じています。何せ20年近い時間が経っているんですものねえ…。

 客の入りはいつもより多く、8割程度でしょうか。拍手の中団員が入場。全員揃うまで起立して拍手に応える新潟方式も新潟定期の伝統として根付いています。今日のコンマスはニキティンさんです。

 新潟定期最多出演の飯森さんが登場して作曲順に「ローマの噴水」で開演しました。夜明けから、朝、昼、夕へと移りゆくイタリアの煌びやかな太陽に光る様々な噴水が、オルガンを加えた大オーケストラによって描き出され、極彩色の壮大な音楽が奏でられました。

 続いては「ローマの松」。おどろおどろしく、グロテスクな匂いもするこの曲を、迫力いっぱいに描き出していました。ステージ裏で奏されたトランペットソロや聴かせどころのクラリネットソロが見事であり、リハーサルで入念に確認していたナイチンゲールの囁きも美しかったです。2階席の左右に配されたバンダもステレオ効果を生み、クライマックスでは大音量のオルガンとともに聴く者を圧倒しました。

 休憩後は「ローマの祭」です。3階席左手に配されたバンダの素晴らしいパフォーマンスとともに、色彩感豊かな音絵巻を描き出していました。フィナーレへ向かってスピードをアップして駆け抜けながら、オーケストラの乱れは全くなく、東響のアンサンブルの素晴らしさと集中力に脱帽しました。

 短い曲が3曲ということで、終演時間は通常より早かったですが、ボリューム感いっぱいのプログラムであり演奏だったと思います。
 豪華絢爛、総天然色の音絵巻。オルガンやバンダを加えた壮大なオーケストラサウンド。アクセル全開でも一糸乱れぬ東響の見事さ。管のソロもお見事。圧倒的大音量でも音が飽和しないコンサートホールの音響の素晴らしさ。これらが相まって、オーケストラを聴く喜びを存分に堪能しました。

 深刻感のない色彩感と迫力あふれる音楽は祝典気分を醸し出し、100回を記念する曲として相応しかったと思います。そして何より飯森さんの曲作りの素晴らしさを忘れてはなりません。常に期待を裏切らず、音楽を聴く楽しみを聴衆に教えてくれる飯森さんの真骨頂とでもいえましょう。

 100回記念を飯森さんに託した甲斐があった素晴らしい演奏でした。今年のベスト10候補に上げておこうと思います。


  蛇足ですが、演奏中に席を立つマナーのない人は時々見かけますが、演奏中に徘徊する人がいたのには驚きました。東京定期100回の歴史の中でも初めてではなかったでしょうか。EブロックからP席という目立つ場所で、レセさんも静止できない場所だったようです。P席後方で仁王立ちしている度胸の良さには感服しました。
 

(客席:2階C*-**、S席:定期会員、¥5600)