だいしホールから出ましたら、時刻は16時50分。ホール前にはタクシー乗り場がありますから、すぐにタクシーに乗る予定だったのですが、私と同じ行動の人も多いようで、私の前でタクシーは出払ってしまいました。
仕方なく、西堀までダッシュし、漸くタクシーをつかまえて大急ぎでりゅーとぴあに向かいました。1階玄関の到着は16時を少し回っていました。
階段を駆け上がって入場し、レセさんに急ぐよう急かされてホールに入りましたら、ちょうどチューニングが終わったところで、着席と同時に指揮者が登場しました。まさにぎりぎりでした。
ステージ上には16型のフル編成のオーケストラ。ステージいっぱいで壮観です。コンサートマスターはニキティンさん。次席は田尻さんです。指揮者は新潟初登場の主席客演指揮者ウルバンスキ。評判は高く、今年の新潟定期の中でも最も注目される公演と個人的には感じていました。
まずはブラームス。美しく透明感のある音色にうっとりとしました。豊潤な弦の音色は、いつもの東響よりも美しく感じましたが、気のせいでしょうか。ドイツ的重厚感は感じず、むしろ爽やかさを感じました。「悲劇的序曲」でしたが、明るさを感じ、悲劇的ではなかったです。
続いてオケの編成が縮小され、「トルコ風」です。ブラームスでは指揮者用の譜面台はありませんでしたが、ここで譜面台と楽譜が用意されました。
ジャッキーヴさんの演奏は初めてですが、線が細いなあ、というのが第一印象でした。でも、歌うような、伸びやかな音楽は心地良さを感じさせました。東響も明るく爽やかでした。私がこれまで聴いたこの曲の演奏の中で、これほど流麗に感じた演奏はなかったように思います。
昨日のサントリー定期ではソリストアンコールがあったので、新潟でも期待しましたが、アンコールなしで休憩に入ってしまいました。どうしたのかなあ・・・。
後半はオケはフル編成になって、「火の鳥(1945年版)」です。ステージいっぱいのオケは見ているだけでも豪華です。指揮者用の譜面台はなく、暗譜での指揮です。
地を這うような低弦の響きで演奏開始。各管楽器のソロも見事であり、小気味良い演奏でした。ロンドから凶悪な踊りへのつなぎなど鳥肌ものでした。私の前の席の人は飛び上がっていましたから・・。
大音響でも音は全く濁らず、ホールいっぱいに、透明感のあるクリアなオーケストラサウンドが満ちていました。指揮者は細かい所まで指示を出しており、見事にオケを統率していました。素晴らしい指揮者と実感しました。
実は、「火の鳥」は私が大好きな曲なのですが、様々な版のうち、この組曲の1945年版というのは嫌いです。厚化粧で、少しグロテスクという印象を持っています。特に終曲での音の刻み方など好きになれないのですが、今日の演奏はそんな私の固定観念を突き崩すような爽快感を感じさせる演奏で、この版を見直しました。でも、全曲版か組曲1919年版の方が好きですけれど。
後半は30分程度でしたから、終演時刻はかなり早かったです。やはりソリストアンコールがあれば良かったですね。でも、いつもの東響とはちょっと違った透明感あるクリアな演奏が聴けて良かったです。
ウルバンスキは期待した通りの見事な音楽を聴かせてくれました。個人的にはノット以上に興味深く聴きました。来年の新潟定期での来演も決まっており、次はどんな演奏を聴かせてくれるのか楽しみです。
(客席:2階C*−*、S席:定期会員 \5600) |