新潟市出身のファゴット奏者・小林さんのコンサートです。ドイツで活躍されていたとのことですが、新潟でのコンサートはなく、全く存じ上げませんでした。今回コンサートを聴こうと思ったのは、美しいチラシに魅かれてというのが正直な動機です。こんな男もいますので、チラシのでき具合って馬鹿にできませんですよ。
天候はすぐれませんが、気温は高めで過ごしやすい土曜日となりました。今日は久しぶりに時間が取れたので、この公演に行くことができました。実は夕方会合があるため、時間的に厳しく、全部聴けるか微妙だったのですが、このチラシを見る度に、やっぱり聴きに行かねばという気持ちになってしまいました。
当日券を買って入場。関係者が多いようで、たくさんの花が並んでいました。会場は満員の大盛況でしたが、早めに入場して左手前方に席を取りました。
5分ほど遅れて開演。低音が豊かに響き、ファゴットの魅力を堪能させていただきました。トークを交えながら演奏されたのですが、チラシの写真から受けた印象とは裏腹に、チャキチャキした、ちょっと素っ気ないような話し振りでした。後半では楽器の解説もあって、興味深く聴けました。子供たちに音を出させたりして面白かったです。
無伴奏の緊張感ある演奏で始まり、その後の曲目は多彩で、飽きさせることなく楽しませてくれました。ピアノともきれいに溶け合って、緩急自在の演奏は安定感があり、音楽に引き込まれました。スタジオAに音量たっぷりに、時に重厚に腹に響き渡るファゴットの音は心地よかったです。小林さんが話されていましたが、ファゴットの音域は男性の声の音域に相当し、耳に馴染みやすいのかもしれません。
ファゴットのリサイタルというのは聴く機会がなく、昨年3月に期待の若手である小武内茜さんのミニリサイタルを聴いて以来であり、本格的なリサイタルは今回が初めてで、貴重な体験ができました。オケには欠かせないファゴットではありますが、ファゴット独奏のための曲は少ないようです。今回の演奏曲も編曲物が入っていましたが、原曲に劣らない良い味が出ていたと思います。
最後のサン=サーンスのファゴットソナタは、ファゴット吹きには大切なレパートリーのようで、小武内茜さんのリサイタルでも演奏されていました。小武内さんには申し訳ないですが、小林さんの演奏が良かったです。
高校の同級生というピアノの真川さんも、譜めくりの女性も美しく、音楽同様に楽しめました。終演後には譜めくりを含めた3人に子供たちから花束贈呈となり微笑ましかったです。
子供たちを含め、関係者が多い雰囲気でしたが、手づくり感が感じられるコンサートでした。演奏中に花束を作る音が聴こえてきたりなど、運営面での問題がないではなかったですけれど。
現在東京で活動されているようですが、郷里の新潟での定期的なコンサートを期待したいと思います。
(客席:左前方、¥2000) |