ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 来日公演 | |
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2011年11月22日(火) 19:00 サントリーホール | |
指揮: サイモン・ラトル | |
マーラー:交響曲第9番 |
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ウィーン・フィルは新潟で2度聴いていますが、ベルリン・フィルは聴いたことがありません。新潟に来ないのは仕方ないにしても、東京のチケットも即完売となり、聴こうと思っても聴けなかったのが実情です。 さて、今夜の演目のマーラーの9番。私にとってマーラーの交響曲の中で一番好きな曲です。とは言っても、最初から好きだたわけではなく、マーラーを聴き始めてから9番が好きになるまで30年かかりました。年を取って初めてその素晴らしさに気付いた次第です。人生も後半となり、終焉への道が近付いてきたためでしょうか。 開場時間となり、カラヤン広場に響き渡るパイプオルゴールの音を聴きながら入場しました。抽選で与えられた席は2階席の後方です。もう少し前が良かったですが、ぜいたくは言えません。 ステージにはコントラバスの皆さんが先に音出ししていましたが、その後拍手の中に他の団員が入場しました。最後に樫本さんが入場して、チューニング。ラトルが登場していよいよ開演です。 ラトルが手を上げて音が出るまでの無音の数秒間。これほどの無音と緊張感はこれまでに経験がないほどに思います。客席はみな息をのんでいるのがわかりました。 出だしから、ベルリン・フィルの実力を実感しました。音の厚みと言いますか、密度が違います。ウィーン・フィルを初めて聴いた時も音に感激しましたが、やはり、世界の一流と言われるオケの音は違います。分厚い音がマスとなって客席に押し寄せてきます。 第1楽章後に入念なチューニングがされ、第2楽章へ。最初のちょっと滑稽な管のアンサンブルから、管の見事さに感激しましたが、分厚い弦のパワーも負けていません。 休みを置かずに第4楽章へ。弦の分厚い音の流れに身を任せ、至福の時を過ごしました。弱音での美しさも格別です。緊張感保ちながらの演奏でしたが、咳き込むオバサンがいたのはちょっと残念。 音が消え、ラトルが手を下ろすまでの数十秒間の沈黙。この無音の時間をステージと客席とで共有できたことは幸せでした。緊張感の限界で咳をしだす人が出始め、ようやくラトルが手を下ろし、万雷の拍手が湧き上がりました。 すばらしい演奏体験でしたが、冷静に考えて、9番1曲だけで4万円は?ともいえます。こんなに感動しておきながら文句を言うのもなんなのですが、チケット4万円、交通費2万円、合計6万円分かといえば?でもあります。すぐに金の話になるのは貧乏人の証拠ですね。 (客席:2階C8-37、S席40000円) |