井上圭子 オルガン リサイタル
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2008年11月24日(月・祝) 15:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
オルガン:井上圭子
 
 
ムーレ:ロンド (「ファンファーレと合奏用組曲」より第1番)
ベーム:パルティータ「イエスよ、汝はいとも美し」
J.S.バッハ:コラール<われらみな唯一の神を信ず> BWV680
J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ BWV147
J.S.バッハ(井上圭子・編):汝わがそばにあらば BWV508
シベリウス(フリッカー・編):フィンランディア op.26

(休憩20分)

フランク:コラール 第1番 ホ長調
ラヴェル(井上圭子・編):亡き王女のためのパヴァーヌ
ハキム:恋しい人<オルガンのための交響組曲>より
      ・恋い慕う人が見つかった
      ・火花を散らして燃える炎
      ・ごらん、恋しい人が山を越え、丘を飛んでやって来る

(アンコール)
新井 満(井上圭子・編):千の風になって

 
 

 夕方から雨の予報ですが、日中は曇り空で、寒さも一段落という陽気です。雑用を済ませ、ホールに向かいましたが、駐車場は満車であり、市役所に駐車しました。今日は催し物が重なっていて、りゅーとぴあの劇場、能楽堂、スタジオAとも公演があります。隣の音楽文化会館にも県民会館にも公演があり、特に県民会館には開場待ちの長い列ができていました。若者ばかりなので尋ねてみたら、「モーニング娘。」のコンサートとのことでした。それも午後と夜の2回公演といいますからたいしたものですね。

 さて、今日は井上圭子さんのコンサートです。チラシの写真はかなりお若く見えますが、実際は私でもずいぶん前からお名前は存じ上げており、日本を代表するオルガニストのひとりです。とは言え、オルガンのコンサートでホールをいっぱいにするのは難しく、今日も空席が多かったです。私は3階席正面に席を取りましたが、隣を気にせずにゆったりと聴けて良かったです。

 りゅーとぴあのオルガンの特徴である水平トランペットを用いたムーレのロンドで開演しました。以後曲の紹介を交えながら演奏が進められましたが、落ち着いたしゃべりの分かりやすい解説があって、大変良かったと思います。2日前から新潟入りしてオルガンの音色を確かめていたそうであり、明るい響きが特徴の、このスペイン製のオルガンから多彩な音色を引き出していました。これまで聴いたことのない音色もあって、新鮮な驚きを感じました。遠目で見るとおきれいで、井上さん自身に華がありますが、演奏も色彩豊かであり、しっとりとした当ホール専属の山本さんとは違った魅力を感じさせました。「主よ、人の望みの喜びよ」はこのオルガンで何度か聴いた記憶がありますが、同じ曲でもストップの使い方で、全く違った音色になり、印象も変わることに今さらながらも感銘し、オルガンの奥深さを再認識しました。
 ただし、前半最後の「フィンランディア」の後半で、オルガンに機械的トラブルが発生したのが残念でした。原曲の良さを生かしたすばらしい編曲で、聴き応えある演奏だっただけにちょっと残念でした。

 休憩時間はオルガンの応急修理で山本さんたちが大忙ししていました。残念ながら、完全復旧ならず、後半もときどき異音が聞かれました。衣裳替えして前半とは気分を変えて演奏され、大変すばらしくなるはずでしたが、オルガンのトラブルが興をそいだように思います。井上さん自身やりにくかったはずですが、フランクやラヴェルは心に染みる演奏であり、最後のハキムも多彩な音色を味わわせてくれました。アンコールをしっとりと聴かせて終演となりました。

 ちょっとしたアクシデントがありましたが、何事もなかったかのように演奏は進められました。トークの中でお詫びの言葉でもあるかと思いましたが、まったく触れられなかったのが意外であり残念でもありました。最後のカーテンコールでオルガンを讃えるような仕草をしたのが印象的でした。今日の公演はテレビ収録されており、年末にBSジャパンで放送されるそうです。アクシデントがどう編集されるのか興味深く思います。
 そのアクシデントを差し引いても、まずまずいい演奏会だったと思います。こんなにすばらしい演奏会というのに空席だらけというのは残念であり、もったいなく感じます。井上さんも言っていましたが、こんなにすばらしいオルガンがあることを誇りにし、大事にしたいものですね。せいぜいコンサートに足を運びましょう。
 

(客席:3階I4−8、会員割引:1800円)