マリインスキーオペラ 「イーゴリ公」
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2008年2月2日(土)18:00  NHKホール
 
 
 

ボロディン:イーゴリ公 <2007年ゲルギエフ改訂版>

プロローグ プチーブリの広場 イーゴリ公の出陣

序曲

第1幕 ポロヴェツ軍の陣営 
    イーゴリ公とコンチャーク汗の応接〜ポロヴェツ人の踊り

(休憩30分)

第2幕 ポロヴェツ軍の陣営 イーゴリ公の脱走

第3幕 第1場 プチーブリの城壁 ヤロスラーヴナのアリア〜農民たちの合唱 
     第2場 ガリツキー公の館 ガリツキー公一味の騒ぎ

第4幕 ヤロスラーヴナの館 夫が心配なヤロスラーヴナ〜ポロヴェツ軍の攻撃〜
    イーゴリ公の帰還

指揮 : ワレリー・ゲルギエフ
演出 : エフゲニー・ソコヴニン
音楽監修(2007年) : ワレリー・ゲルギエフ
「ポロヴェッツ人の踊り」 振付 : ミハイル・フォーキン

イーゴリ公 (プチーヴリの公)       : セルゲイ・ムルザーエフ
ヤロスラーヴナ (その妻)          : ラリーサ・ゴゴレフスカヤ
ウラジーミル (彼らの息子)         : エフゲニー・アキーモフ
ガリツキー公 (ヤロスラーヴナの兄)    : アレクセイ・タノヴィツキー
コンチャーク汗 (ポロヴェッツ人の長)   : セルゲイ・アレクサーシキン
コンチャコーヴナ (その娘)         : ナターリア・エフスタフィーエワ
オヴルール (キリスト教徒のポロヴェッツ人) : ワシーリー・ゴルシコーフ
スクーラ (クドーク弾き)           : グリゴリー・カラショーフ
エローシュカ (クドーク弾き)        : アンドレイ・ポポーフ
ヤロスラーヴナの乳母            : エレーナ・ソンメル
ポロヴェッツ人の娘             : タチアーナ・パヴロフスカヤ
ポロヴェッツ人の踊り           : ポリーナ・ラッサーディナ
                        : イスロム・バイムラードフ
                        : アンナ・シソエワ
                        : ゲンナジー・ニコラーエフ

 
 

 東京でのオペラ三昧の第2弾です。東京文化会館での「ランスへの旅」の感動も醒めぬうちに、今度はNHKホールで「イーゴリ公」です。ホテルに荷物を置いて山手線で原宿へ行き、徒歩でNHKホールへ。ちょうど17時15分の開場の時間でした。寿司を買って腹ごしらえし、ダブルヘッダー第2試合に臨みました。今度の客席はやはりB席ですが、2階席右側後方で、上に3階席がかぶっているので若干圧迫感がありますが、ステージやオケピットの見晴らしは良かったです。空席が若干目立ち、私の横には誰もいなくてゆったりできました。

 今回の上演は昨年末の北京公演で演じられた2007年ゲルギエフ改訂版とのことで、プロローグと4幕からなります。各出演者ともすばらしく、巨大なNHKホールに歌声が十二分に響いていました。イーゴリ公(セルゲイ・ムルザーエフ)、コンチャック汗(セルゲイ・アレクサーシキン)の力強い歌声は見事です。イーゴリ公の息子のウラジーミル役(エフゲニー・アキーモフ)は格好良くなかったですけど。合唱も大迫力。お馬さん2頭も出演されていました。第1幕最後の「ポロヴェッツ人の踊り(ダッタン人の踊り)」のバレエは圧巻。マリインスキーバレエのプリンシパルが出演とあって、期待に違わぬ熱演でした。オケも大爆発かと思いましたが、意外にも抑制のきいた演奏だったと思います。休憩時間に1階席へ降りて、オケピットを覗いてきました。結構広々しているんですね。ゲルギエフの指揮台、椅子を見て感激したりして、全くの田舎者ですね。

 前半に比して、後半は若干冗長な印象を感じました。イーゴリ公を待ちわびる妻(ラリーサ・ゴゴレフスカヤ)の切々たる歌声と農民たちの歌声は心に響きましたが、イーゴリ公の留守を預かるガリツキー公の悪行を長々とやった割に、イーゴリ公が帰還したところで唐突に終演となり、本来あるはずのフィナーレがカットされたのは拍子抜けに思いました。スタンダード版と大きく話の順番を入れ替え、従来のマリインスキー版とも異なります。パンフレットの内容とも大きく異なり、修正版の冊子が挟み込まれていました。ゲルギエフ版の真意はいかなるものなのかは分かりませんが、欲求不満が残り、ちょっと残念に感じました。とはいえ、本場物を楽しませていただきだき満足ではありました。ゲルギエフ版が悪いというより、もともとが未完のオペラで、決定稿がないというのがそもそもの原因なんでしょう。

 さすがに1日に2本のオペラの連チャンは疲れました。ゲルギエフやオケの皆さんも連チャンな訳ですけどね。 「ランスへの旅」で大活躍したフルートの姉さんもピットで頑張ってましたものねえ・・。満足気分で原宿駅に向かいました。ホテルに着くまで、私の頭の中ではポロヴェッツ人が踊り回っていました。
 

(客席:2階R16-13、B席:¥35000)