ふだん着で楽しむバイオリン 〜天満敦子の名曲コンサート〜
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2007年7月29日(日) 14:00  弥彦総合文化会館
 
ヴァイオリン:天満敦子
 
 
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第1番より「アダージョ」
シューベルト:アヴェ・マリア
マスネ:タイスの瞑想曲
アイルランド民謡・和田薫編:ロンドンデリーの歌
イギリス民謡・和田薫編:グリーンスリーブズ
黒人霊歌:アメイジング・グレイス
カタロニア民謡:鳥の歌
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第3番

(休憩15分)

山本正美・小林亜星編:ねむの木の子守歌
中田喜直:夏の思い出
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番より「シャコンヌ」
ポルムベスク:望郷のバラード

(アンコール)
小林亜星:北の宿から

 
 

 天満敦子を生で聴くのは初めてです。当初は聴く予定はなかったのですが、音楽仲間の勧めで聴いてみることにしました。新潟県内を巡回公演しており、新潟の「りゅーとぴあ」でも8月1日に公演予定があるのですが、せっかくの日曜日ですし、無伴奏のヴァイオリンを聴くなら小さいホールの方が良いかと考え、弥彦まで繰り出しました。農道を使うと私の家からは30分もかからずに行くことができます。このホールは初めてですが、森の中の高台に静かにたたずみ、緑に囲まれて雰囲気は良いです。正面に臨む弥彦山が雄大です。当日券を買い求めて入場しました。昭和53年の開館ということでちょっと古ぼけていますが、ホワイエの大きな窓から見える森の木々の緑が心を癒します。客席はワンフロアで1051席という中規模のホールです。ヴァイオリンということで、正面2列目に席を取りました。

 天満が登場して演奏開始です。朗々とした力強い音色。さすがにストラディヴァリ、音量も豊かです。かぶりつきの席なのでストレートに音が迫ってきます。バッハの後は2曲ずつ連続して演奏されました。おなじみの小品ですが、格調高い演奏で、バッハを聴くような感じでした。配布されたプログラムと違って、鳥の歌が前半に演奏されました。前半最後のバッハのパルティータ第3番は圧巻。すごい。まさに渾身の演奏という感じでした。その後地震やストラディヴァリに関する天満のトークがあって前半が終了しました。
 休憩後は、日本の小曲を演奏したあとにバッハのシャコンヌです。やっぱりバッハはすばらしいです。音がストレートに心を打ちます。そして最後は望郷のバラード。天満といえばこの曲。哀愁を帯びたいい曲ですね。アンコールに北の宿からを演奏して終演となりました。

 名曲コンサートということなので、もっと軽くてくだけた演奏会かと思いましたが、どの曲も心のこもった力強い演奏で、緊張感を感じました。冷静に振り返ると、この力強さは粗っぽさにもつながりかねず、一本調子と言えなくもありません。「ふだん着で楽しむ」という気楽な演奏ではなく、聴衆も真剣に聴き入っていました。ムード音楽的な雰囲気は一切なく、ヴァイオリンの力強さに打ちのめされた感じで、心地よい疲労感を覚えました。ヴァイオリン1本でホールを音楽で満たし、その音色、音量は特筆できます。ホールの響きも悪くありませんが、空調の音がうるさいのが難点でした。

 終演後サイン会がありましたが、早足でホールを出たのに、ロビーですでに天満が待機していたのには驚きでした。外に出るとどうにか雨にならず、どんよりとした雲ですが、暑くもなくて、過ごしやすい陽気です。もうすぐ8月、梅雨明けはまだかなあ・・・。
  

(客席:2-27、全席自由:2500円)