にいがた祝祭コンサート 2007
  ←前  次→
2007年3月30日(金)19:00  新潟市芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:飯森親範
管弦楽:東京交響楽団(コンサートミストレス:大谷康子)
ソプラノ:高橋薫子  メゾ・ソプラノ:森山京子  テノール:中鉢 聡  バス・バリトン:三浦克次
ヴァイオリン:鍵冨弦太郎
合唱:にいがた祝祭コーラス(合唱指揮:宇野徹哉)、新潟市ジュニア合唱団
司会:朝岡 聡、山本真希(オルガン)
 
 
開場ファンファーレ
 吉松 隆:「ファンファーレ新潟」(東響ファンファーレ隊)

オルガン・プレコンサート
 バッハ:パストラーレ ヘ長調 BWV590 (山本真希)

第1部:田園から、青春そして祝典へ
 ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調op.68「田園」から第1楽章
 エルガー:「愛のあいさつ」(鍵冨弦太郎)
 サラサーテ:「ツィゴイネルワイゼン」 (鍵冨弦太郎)
 プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」から
      「冷たき手よ」 (中鉢 聡)
      「私の名はミミ」(高橋薫子)
 ワーグナー:歌劇「ローエングリン」から
      第3幕ヘの前奏曲
      「婚礼の合唱」 (にいがた祝祭コーラス)

(休憩20分)

第2部:自由から祝祭ヘ
 ビゼー:歌劇「カルメン」から
      前奏曲
      「兵隊さんと一緒に」〜子どもたちの合唱 (新潟市ジュニア合唱団)
      「恋は野の鳥」〜ハバネラ (森山京子)
      「闘牛士の歌」 (三浦克次)
      間奏曲
      第4幕から (新潟市ジュニア合唱団、にいがた祝祭コーラス)

第3部:歓喜の歌
 ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調op.125 第4楽章「歓喜の歌」
      (高橋薫子、森山京子、中鉢 聡、三浦克次、にいがた祝祭コーラス)

 
 

 新潟市の政令指定都市移行の記念コンサートです。チケットは完売され、祝賀ムードあふれるコンサートです。職場を早く抜け出してホールに着くと、6時40分。ちょうど開場のファンファーレが演奏されました。ファンファーレなので当然短い曲なのですが、雰囲気を盛り上げてくれました。そう言えば、東響新潟定期も初期の頃は開場ファンファーレがあったのに、いつのまにか無くなってしまいました。
 客席に入ると山本真希さんによる開演前のオルガン演奏が始まっていました。なかなかいい演奏のはずだったのですが、開演前のざわめきの中の演奏で、曲を十分に楽しめなかったのが残念でした。ステージ周りに花が配され、華やいだ雰囲気を醸し出していました。満席の客席は久しぶりです。次回の東響定期もすでに完売らしく、このまま盛り上がりが続いてほしいものです。

 拍手の中楽員が入場し、いよいよ開演です。ステージ上に合唱団席が設けられているので、オケは奥行きがなく左右に引き延ばされたような配置になっています。コンミスの大谷さんが登場して拍手が一段と高まりました。大谷さんの新潟での人気は絶大です。おなじみの飯森さんが登場して、一曲目は田園です。「田園型政令市」をめざす新潟市ということで選曲されたのでしょう。演奏が始まって「アレッ」という違和感を感じました。席はいつもの東響定期の席のひとつ前の席で、ほぼ同じ場所ですが、オケの響き、音色が全く別に感じられました。薄っぺらな音で、演奏もいつもよりは雑に感じたのは私だけでしょうか。飯森さんが癖のあるアクセントの付け方をしていたのも一因かも知れませんが、オケの配置で音のまとまりが違ってしまっていたように思いました。
 次に、新潟出身の鍵冨さんが登場して2曲演奏しました。以前にCDを聴いて好印象を持っていたのですが、今日の演奏は繊細すぎて力強さに欠けていました。オケとの協調も不十分であり、せっかくの晴れ舞台で実力を出し切れなかったのではないかと残念に感じました。小学5年生で東響と共演した郷土の誇り。長身でスリムで、かっこいい青年に育ちました。まだまだ20歳。これからの研鑽と発展が期待されます。
 次は中鉢さんと高橋さんによる「ラ・ボエーム」からの有名なアリア。そして、合唱団が登場して賑やかに「ローエングリン」で盛り上がり、前半を終わりました。ブラスの咆哮が魅力の「第3幕への前奏曲」が随分大人しく感じ、今日の東響はいつもと違うなあと再度感じてしまいました。にいがた祝祭コーラスはすばらしかったです。

 休憩時間に地元のワインが振る舞われました。ひとり1杯とはいうものの、赤白飲み放題状態でしたが、車の私は飲めなかったのが残念でした。

 後半は「カルメン」からの抜粋。新潟ジュニアコーラスの頑張りに感激しました。客席から登場した森山さんのカルメンは妖艶で好演でしたが、三浦さんは本調子じゃなかったようで、声に張りがなかったです。最後は賑やかに盛り上げてくれて良かったです。
 最後は「歓喜の歌」。第4楽章全曲ではなくて、合唱が始まる部分からというのはがっかりでしたが、祝賀行事にはぴったりで、どんな演奏でもそれなりの感動を与えてくれる曲の魔力もあって、ホールの盛り上がりは最高潮となりました。冷静に考えると、バスに艶がなく、飯森さんのクセのあるアクセントの付け方が気にかかり、やっぱりオケの音色が薄っぺらに感じ、雑な演奏に感じてしまいました。

 細かいところでは難を感じた点はありましたが、祝賀気分を盛り上げるすばらしいコンサートでした。特に選抜メンバーからなる新潟市ジュニア合唱団とにいがた祝祭コーラスの頑張りはすばらしかったです。司会の朝岡さんはこの道のプロだけあって軽妙にコンサートを盛り上げてくれました。山本さんも慣れない司会に緊張しながらも頑張っておられました。飯森さんは明日は午後3時から山形でコンサートのはず。過密日程に驚きです。

 外へ出るとまだまだ肌寒く、新潟での桜の便りはもう少し先のようです。

(客席:S席:2階C4-35、¥6300、会員割引)