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円満に好条件で退職する方法

円満に好条件で退職する方法

雑誌『FRIDAY (2009.3.20)』に「正社員切に遭わないためのマル秘防衛術」という記事がありました。いろいろ参考になる事項があったので、これをまとめてみることにしました。

雑誌の記事はいくらか過激な内容でしたので、自分の経験を折り込みつつ、マイルド化しています。できるかぎり円満に好条件で退職するにはどうすればよいかとの視点でまとめています。

ですから、「徹底抗戦」を望む人には参考にならないかもしれません。項目的には二つに分けています。

  • 肩たたき」から退職までの流れ
  • 補足的な注意点

(2009年7月 金森国臣)(2009年10月 「タテマエとしての円満退職」を追加)(2009年11月 「泣き寝入りせずに抵抗する方法」を追加)


「肩たたき」から退職までの流れ

以下の流れで説明しています。

  • 退職勧奨を受ける
  • 友人や知人に相談する
  • 就業規則などをよく読む(同時並行で)
  • 転職活動を進める(同時並行で)
  • パワハラやイヤガラセを受けたら
  • 解雇通知書を出してもらう
  • 業務の引き継ぎを行う
  • 有給休暇を取得する
  • 退職する
  • 各種手続きを行う(準備中)

退職勧奨を受ける

人事部門は、入念な計画を立ててからリストラを始めます。リストラする社員としない社員を振り分けてから、肩たたきを始めます。

従って、退職勧奨を受けた場合、もはや会社には不要と判断されていることになります。

こういう状態では、子会社などに残っても、あとでヒドイ目にあう可能性が高いので、まず最初に覚悟を決めます。

勤続年数が長ければ長いほど、胸中には様々な思いが去来するはずです。しかし、ここは、逆にこちらから会社を見捨てることにして、いたずらに感傷に浸ることなく、次の地平に向けて、しっかりと準備を進めることが大事です。

とりあえずは、個人の連絡先を書いた簡単な名刺(100枚程度)を作成します。

ここで気をつけたいのは、退職の決意を固めたことを周囲には悟られないようにします。自分から「辞めます」と絶対に言わないようにします。

またこの時点からは、安易に各種書類への書名や捺印はしないようにします。

相手はリストラのプロなので、感情的になって議論などはしないようにします。

友人や知人に相談する

一人で悩んでもよい智恵は浮かんできません。周囲の人々に相談し、協力や支援を求めることから始めます。

まず、家族には自分の状況を説明して協力を求めます。最悪の事態になるかもしれませんが、家族の支えがなければ何事も乗り切ることはできません。正直に状況を説明します。

辛い事ですが、これをやっておかないと、後々にトラブルに発展する可能性があります。

社内や取引先に親しい人がいれば、遠慮することなく相談します。弱音を吐くことになるかもしれませんし、プライドが傷つくことがあるかもしれません。

冷たい態度を取られることも多々あると思いますが、誰が今後の付き合いに値する人物かを見定めることができるという利点もあります。

私の場合、自分ではあまり面倒を見た記憶がなかった人が、意外に恩着を感じてくれていたりして、驚いたことがあります。

周囲に相談していることが、人事部門に知られることとなり、クレームが付けられる場合もあります。この場合は、「知りません。誰から聞いたんですか」とサラッと受け流します。

人事部門は、情報が漏れることをとてもイヤがります。しかし、これは言ってしまえば、もはや身内ではなく「他人」の都合なので別に配慮する必要はありません。人事担当は、単なる交渉機関であると割り切って対応するようにします。変に相手に同情したりしないことです。

就業規則などをよく読む(同時並行で)

退職金は在籍期間が長いほど多くなります。就業規則などをよく読んで、在籍期間と退職金の関係を把握しておきます。

また、会社都合で退職する場合には割増制度があるかもしれません。

在籍期間を計算し、雇用保険が支給される日数も確認します。あと数ヶ月在籍すれば、雇用保険の支給期間が長くなるのであれば、それまで粘ることになります。

ボーナスがまだ支給されているようであれば、ボーナスの支給を待って退職するようにタイミングをはかります。

転職活動を進める(同時並行で)

周囲に相談したり、転職エージェントに登録したり、考え得る手段を使って転職活動を進めます。

どこの転職エージェントがよいかは、周囲に相談することで分かることがあります。

パワハラやイヤガラセを受けたら

あまりにもしつこいようであれば、地域のユニオンや都道府県労働局、市民相談窓口、労働相談情報センター、労働弁護団などに相談します。決して個人で対応しないようにします。

「通知書」を代表取締役あてに内容証明で送ることも効果があると言われています。

通知書

○月○日と、○月○日に、それぞれ2時間に及ぶ退職勧奨を受けました。

しかし、退職勧奨をする人選基準も明らかでないばかりか、長時間にわたり3人で取り囲んで退職を迫るという、不当かつ人権侵害そのもののやり方です。

しかも、同月付けで、退職する意思がないことをはっきりと申し上げたにもかかわらず、また、呼び出しを受けました。

本書面で、再度、退職の意思がないことを明らかにいたしますので、今後、退職勧奨をしないよう申し入れます。

○年○月○日

東京都千代田区○○―○○
 東京太郎 印

東京都千代田区○○○○
○○株式会社
 代表取締役 ○○○○殿

このあたりのささやか抵抗は、あくまでも有利な条件を引き出して退職するための手段と割り切って、さわやかに進めるようにします。

有利な条件とは:

  • 自己都合退職ではなく会社都合退職にする。
  • 退職加算金を上乗せする。
  • 雇用保険の支給日数を増やす。
  • ボーナスはもらう。
  • 有給休暇はすべて取得する。

といった常識的なことです。

解雇通知書を出してもらう

いずれは「そろそろ潮時かな」と感じる時点が来ると思います。

その時になったら、解雇通知書を出すように要求します。この解雇通知書はかなり重要で、肩たたきを受けたとき「解雇通知書は用意してあるんですか」と言えば、相手がひるむことがあります。

あくまでも、会社都合による退職なので、解雇通知書は絶対に必要です。解雇通知書を受け取っていないのに、退職届を出したりしないようにします。

業務の引き継ぎをする

日程の点では、業務を引き継いだ後で有給休暇を取得する日程にします。

立つ鳥跡を濁さず

この格言のとおりに、丁寧に業務を引き継いでおきます。無用のトラブルは避けるようにします。

どのような小さな取引先であっても、挨拶回りはすべてします。遠方で無理な場合は電話を1本入れるようにします。

「退職した後はどこに連絡すればよいか」と尋ねられる場合もあるので、連絡先を書いた名刺を持参します。

退職するとなると、態度がコロッと変わってイヤな目にあうことが多くなると思いますが、一種のトレーニングだと心得て克服するようにします。

業務を引き継いでいる間に気付いた点はメモに残します。あとで自分のノウハウとして役立つことがあるかもしれません。

会社に置いてある私物は、少しずつ持ち帰るようにします(この「少しずつ」が重要)

本来なら、社内に私物があることなど有り得ないはずですが、私の場合、辞書や専門書などがたまりにたまってしまい、段ボール箱で10箱ぐらいになって往生したことがあります。

幸いにも、総務の女性が、会社もちで宅配に手配してくれたので助かりました。普段の付き合いがいかに大切かを教えられました。

また健康保険組合に問い合わせ、健康保険について、どのような手続きをしなければならないか確かめておきます。

健康保険も含めて、このあたりのことは会社の方では何もやってくれませんので、しつこく納得するまで質問します。パンフレット類があれば、会社に郵送してもらいます。

会社に所属している間にできることがあれば、やっておきます。交通費や通信連絡費は、意外に負担になるものです。社員である立場をできる限り利用します。

年金記録の確認もしておきます。中小企業の場合は空白期間があったり、金額が勝手に減額されたりしている場合があるので確認しておきます。(年金の確認は、年金手帳がないとできなかったような気もするが。)

有給休暇を取得する

上司が有給休暇の取得をしぶる場合は、人事部門に連絡して、取得に問題がないことを確認します。

人事部門では、有給休暇の取得を法的に断る理由がないので、取得してもかまわないという返事をするはずです。上司には、「人事に相談したら取得してもよいとのことであった」と申し出れば解決すると思います。

有給休暇中は転職活動の期間であると考えて、ダラダラすごすことのないようにします。

休暇中にもかかわらず、出社を求められることがあるかもしれません。これは、取引先とのからみがある案件などであれば、柔軟に対応するようにします。

私は、お世話になった取引先からの仕事を自宅に持ち帰って仕上げましたが、そのときは何だか損をした気分になったものです。しかし、独立した時に仕事を発注してもらえるようになり、助かったことがあります。

退職する

最終出社日には、会社から「離職票1、2」を受け取ります。離職理由欄には、「会社都合による退職」であると明記されていることを確認します。

雇用保険被保険者証と年金手帳も受け取ります。(健康保険の手続きなどで、他にも必要な書類があるかもしれないので調べて確認しておく。)

退職金や未払いの給与を受け取ります。振込の場合は、近くのATMに行って預金通帳に打ち出して確認します。

「後日に振込みます」とか「小切手で」といったことのないようにします。

就業規則に退職慰労金などの規定があれば、規定に従って受け取ります。労働組合や社内互助会の積立金があれば、それも受け取ります。

受領には印鑑が必要になるので、忘れないように持参します。

健康保険証や社員証、社員バッジ、定期券などを会社に返却します。返却したら、受領書を必ずもらいます。後でトラブルになることを避けるために、このあたりはしっかりやっておきます。

たとえば、「定期券はもうすぐ期限が切れるからいいですよ」と言われることがあると思いますが、これは辞退して返却します。

返却すべきアイテムについては、事前に人事部門からリストを受け取っておくと間違いがありません。返却する前には、すべてコピーをとっておきます。

社内の挨拶回りは、手続きがすべて終了してからプロトコルとしてこなします。

同僚による送別会が計画されているかもしれませんが、これはあらかじめ幹事に短めにするように依頼しておきます。長々と飲んでも何の役にも立たないので、早々と1時間ぐらいで切り上げて家路に就くようにします。(気分が動揺しているときは事故に遭うリスクが高くなる。)

送別会の間には名刺を配っておきます。会社を離れたら、ほとんどの人とは生涯付き合うことはないのですが、なかには後で連絡をくれる人もいるので、面倒でも配っておきます。

家路に就くとき、地下鉄の通路などを歩いていると、これが最後の通勤電車かと想い、言いようのない不安や怒りが襲ってくるかもしれません。

周囲の人はどうでもいいことに笑い転げ、何事もなかったように日常は流れています。一体なんなのだと自暴自棄的な気分になるかも知れませんが、そこはグッと我慢し、駅の売店でシュークリームを買ったりして、子供の喜ぶ姿を想像してください。

これからは、すべて自分一人で重圧感を受け止めなければなりません。でもよく考えてもみてください。冷静になれば、これまであまりにも会社に依存していた自分の人生が浮かんでくるはずです。自己を取り戻す絶好の契機であるとも言えるのです。

仕事をさがしている間に実行できること(101項目)」を別ページにまとめています。参考になるかも知れません。

各種手続きを行う

転職が決まれば、新しい会社ですべて手続きをすればよいのですが、決まっていない場合は、すぐに以下の手続きを行います。

(1)健康保険

次の4つから選択することになります。

  • 健康保険の任意継続
  • 国民健康保険に加入/退職者医療制度
  • 家族の健康保険に加入
  • 特例退職被保険者になる

退職しても、健康保険を任意継続することができます。しかし、退職翌日から20日以内に任意継続の届け出を行わないと権利を失ってしまいます。

退職することが決まったら(退職してからではない)、すぐ健保組合などと相談して、国民健康保険とのサービスの違いや保険料の比較を行います。

任意継続すると、会社の負担金がなくなるため倍額になりますが、上限が決められているはずなので、そのあたりは十分に吟味します。

出産を控えている場合は、出産費用の補助などがあるか、確かめます。

国民健康保険の場合は、市区町村の窓口ヘ行きます。

(2)雇用保険

準備中

(3)年金

準備中


補足的な注意点

気付いた点を随時追加しています。

  • 自分から辞めると言ってはいけない
  • タテマエとしての円満退職
  • 泣き寝入りせずに抵抗する方法
  • 関連情報

自分から辞めると言ってはいけない

「会社を辞めたい、辞めたい」という人がよくいます。

自分では一種の愚痴ぐらいに思っていても、会社のほうでは、そのように受け取らない場合があります。

「辞めたい」と考えている人を、会社はいつまでも放っておくわけにはいきません。辞めてもらっても大丈夫なように準備をするのが普通であるし、準備が整えば、異動などが行われることになります。

自分がいなくなったら会社は困るだろう、と考えるのは自惚れに過ぎません。

この人がいなくなったら技術開発は頓挫するだろうと誰もが思っていた技術者が、ある日ばったり倒れたとしても、何とかこなすようになっているのが会社の組織というものです。

会社に対する不満なども同僚の前では漏らしたりしないのが賢明です。どうかすると、スパイ的な役割を担っている社員が結構いたりするものです。

本当に嫌で辞めたい場合は、準備万端が整ってから退職届を出せば済むことです。法律では、2週間前に出せばよいようになっていたはずです。

けれども、転職には十分すぎるぐらいに注意を払ってください。

転職先に決まっていた会社が、退職届を出した途端に入社を断って来たという荒技が繰り出された例などもあります。

私の知っている話では、通信添削で有名な会社が、新たに辞書を出版するため、有名な辞書出版社から編集者をヘッドハンティングしました。辞書はめでたく完成したのですが、しばらくして、その編集者は会社を追い出されてしまいました。

予想だにしないことがあるので、転職については十分に気をつける必要があります。

タテマエとしての円満退職

どのようなカタチであれ、「円満退職」にするのがお互いのためになります。

タテマエとはいえ、そのことが肝心で、これを理解しているか否かで、結果はずいぶん違ってくる可能性があります。

私が見聞している極端な事例をいくつかご紹介することで、このあたりの感触を得ていただきたいと思います。

事例1

社会人で大学院大学を卒業し、人もうらやむ出版社に入社した知人がいました。

しかし、売り上げのノルマがきつかったようで、1年もたたないうちに大学図書館に職を得て、あっさり退職してしまいました。

「それでも円満退職なんですよね」と問うと、「そうなんですよ」と笑っていました。

事例2

会社の経営が厳しくなってくると、あれこれの要求が出てくるもので、特に売り上げの芳しくないグループには風当たりが強くなります。

もともと切れやすい奴だったのですが、打ち合わせの時、座っているパイプ椅子を社長に投げつけてしまいました。

これでもカタチとしては、円満退職になっていたようです。

事例3

何が不満だったのか、パーティションのガラスを数枚割ったのがいました。

これは器物損壊という立派な犯罪だと思うのですが、この場合は本人と話をしてもラチがあかないということで、親を呼びつけて、それで「円満退職」でケリがついたようです。

いずれも表面的な取り繕いにすぎないのですが、こういった点が日本的といえば、そうなのかも知れません。

泣き寝入りせずに抵抗する方法

(メモ)

「会社を辞めろ」と言われても……泣き寝入りせずに抵抗する方法

  • 解雇には3種類(懲戒解雇、整理解雇、普通解雇)ある
  • 退職強要(いじめ)を受けている場合は、記録を残す(メモ、ICレコーダー)
  • 近くのコミュニティ・ユニオン(労働組合)に入る
  • 最寄りの都道府県庁の労政事務所(労働相談情報センター)に相談に行く
  • 退職金と和解金を支払わせて辞める

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