2007年4月4日(水)
現実とほぼ変わらない仮想空間。
木造アパートの中央の部屋からスタートし、電子掲示板でいうところのスレッドを立てる行為は部屋をひとつ追加することと同じ。
私は乱雑に作られた部屋を整理するための部屋を作った。
そこから他の部屋にジャンプする。
飛び先は作りかけで放置されたある部屋。
そこに散らばった重要そうな物を拾っては自分の部屋に持ち帰る。
三度目のジャンプで戻れなくなってしまった。
何者かが広告のついた部屋の出口を壊してしまったらしい。
重要な失敗に気付く。
私は自分の作った部屋の名前を忘れてしまった。
これでは直接帰れない。
こうなると中央の部屋に戻るしかない。
中央の部屋は六時まで共有のスペースで、旧式のキャラクタ端末と特殊なキーボード、机しか置いていない。
キャラクタ端末を操作して自分の部屋を探せないかやってみたがだめだった。
隣の広間にいく。
ここは中央の部屋よりも若干広く、大きめのテーブルが置いてある。
ここで私の部屋の名前を探すことのできそうな人を待つ。
大学教授が来た。
本職も大学教授らしいが詳しくはわからない。
さっそく先生、と話しかける。
なかなか気付いてくれない。
何度目かでやっと振り向いてくれた。
期末試験が近く生徒から呼ばれているのだと思ったそうだ。
さっそく名前を忘れた部屋にいく方法をたずねてみる。
大学教授は黒い本を出した。
そこには宇宙論が図入りで解説されていた。
話についていけない。
結局わからなかった。
名前を思い出すにはこの木造アパートの主に聞いてみるしかない。
午後六時まで机の前で待つ。
管理人のおばさんが通りかかり、夜帰る時は戸締まりをするようにと言った。
さて、中央の部屋に向かう。
誰もいない。
ほどなくしてこの無限に拡張可能なアパートを設計した主人が入ってきた。
ウィザード級のハッカーだ。
おそるおそる、自分の部屋を設置した理由と忘れてしまった部屋の名前について質問する。
それは意義のあることだね、とハッカーは言った。
普段ならこういうことはしないのだが、とキャラクタ端末に向かい特殊なキーボードを操作して私の作った部屋を検索してくれた。
現在でも利用者がいる。
そして放置された部屋の回収を行ってくれている。
示された名前を紙に書き写そうとするがうまくいかない。
何度やっても間違えてしまう。
大サービスだよ、とハッカー。
プリントアウトしてくれた。
これであの部屋に戻れる。