裂肛の本体
- 歯状線と肛門縁(肛門と殿部の境)の間の、肛門上皮にできた裂創を裂肛(切れ痔、裂け痔)といいます。この部分は知覚神経がきているため、強く痛みを感じます。とくに刺激が内括約筋に及びけいれんを誘発しますと、排便後数時間に及ぶ痛みが継続することもあり、この排便後痛は裂肛に特有の痛みといえます。
裂肛の原因
- 固い便が急に出て、肛門上皮が切れる。
- 強い痛みが発生し、内括約筋を刺激するとけいれん痛が持続する。
- 排便のたびに痛むのが辛く、排便を押さえようとする。
- 便秘となり、固い便を排出するので、裂肛がさらに深く切れ、慢性化する。
- 慢性化した裂肛は、内括約筋に達する程、深くえぐれて肛門潰瘍となる。
- 裂肛が繰り返し生じることにより、肛門の弾力性が失われて肛門狭窄を生じる。
- 肛門狭窄を生じると、排便が困難となり、便秘となる。
- 固い便を排出するため、裂肛が治らず、肛門潰瘍が進行して手術の必要が生じる。
裂肛の治療
- 保存的療法:急性期の裂肛
- 便秘の予防 :規則正しい食生活、食物繊維の摂取、適度の運動に気 をつけて、適度の柔らかさ(歯磨き程度)の便にしま
す。それでも便秘になる場合は、緩下剤を服用します。
- 軟膏による治療 :痔の軟膏を排便後と寝る前の二回裂肛部分に塗布し、 傷をおおうことで痛みを押さえ傷の治りを早めます。
- 手術療法:慢性期の裂肛
- 慢性期の裂肛は深く潰瘍化しており、肛門狭窄もともなっているので、 手術
が必要になります。