ぢじょでん外伝 同じイボでも症状は十人十色。
だから、ご披露ください、あなたのスペシャル経験を。
話せばスッキリ、聞けばニッコリ 私の痔慢  第1回

発病してから完治するまで険しい『イボ痔道』を歩んだつもりだし、完治後も地道に痔道の勉強をしているつもり。でも、皆様に「私の場合は〜」と自慢話を伺うと、今でも「そんな症状や治し方があるなんて…し、知らなかった」と固まることがある。痔道を極めるためには、もっとたくさんの方のお話を聞いていかねば。なので「私はこうしてる」「僕の場合は、こうだな」なんて独自の道を歩んでいる方は、是非お教えくださいませ。
送り先は、dr-ok@mtg.biglobe.ne.jp(私の痔慢と記載して下さい)
ここでご披露させて頂いた方には下記のようにDr.OKのアドバイスが付くという特典がありますゾ。

私の痔慢1・『お尻の病気は子以上のかすがい』 ご近所のおばちゃん(現在60歳)
「私もな、10年か20年ぐらい前まで痔を持ってて、京都のお医者さんで、すっぱり切ってもろたんやけど。切るまでは、お尻がかゆぅてかゆぅて夜も眠られへんぐらいやってんな。そやから、毎晩おっちゃん(ご主人のこと)にお尻の穴、かいてもうとってん。ほんま、うちのおっちゃん、優しいええ人やろ?」
Dr.OKとの一問一答
●お布団の中で「ねぇ、アナタ、お尻の穴がかゆいの」と囁かれて、しっかり期待に応えるご主人は、ホンマ優しいエエお人や。でも、お尻の穴がかゆくなるなんてことが、痔の症状として本当にあるの?
「以前、痔の薬の広告を見ていたら、いぼぢ、きれぢ、あなぢ、に混じって『かゆぢ』というのがありました。病院へ診察を受けに来られる患者さんの中にも症状のひとつとして『おしりの穴がかゆい』と訴える人は少なくなく、そう言われる方のほとんどが、肛門周囲湿疹と診断されます」

●『かゆぢ』はさておき、『肛門周囲湿疹』とは、いかにも病気っぽい。いったいどうして湿疹なんてできちゃうの?
「いわゆる“便によるかぶれ”で、原因のひとつは、排便後、肛門周囲の皮膚のたるみや体毛のせいで、きれいに拭ききれないことです。また、脱肛するイボから分泌された粘液や痔瘻の穴から排出される膿が肛門周囲の皮膚を刺激し、かゆみを生じることもあります。肛門周囲湿疹には、排便後の洗浄が効果的な治療法であり予防法となりますが、原因が後者の場合は、いぼ痔、痔瘻など原因となっている病気を根治することをまず考えてください。私は、肛門周囲湿疹の患者さんには湿疹用の軟膏(抗ヒスタミン剤とステロイド剤を含有したもの)を処方しています」

●同じ種類の薬を薬屋さんで買ってきて素人治療しても大丈夫?
「時々、痔の軟膏にかぶれたり、ステロイド軟膏によって慢性の皮膚炎を起こす場合があります。また、まれですが、カンジダというカビの一種が湿疹の原因になっている場合もあり、この場合は抗真菌剤の軟膏を用いますので、自己治療に頼らず、早めに肛門科か皮膚科で受診されることをおすすめします」

●ところで、我慢できないほどかゆいからって、ご本人の手であれ他人の手であれ、掻いてもいいの? 掻いたら、ソコはどうなる?
「この方のように、優しくソフトな取扱い方であれば、少しぐらいは掻いても大丈夫でしょう。が、掻き過ぎは禁物。症状が悪化することになります。肛門の周囲の皮膚は腕や脚などの皮膚とは比べものにならないほどデリケートですので、注意してください」

●標語1・愛のない 手でのタッチは お尻も心も痛めます
 皆様、掻き過ぎにはお気をつけあそばせ。

私の痔慢2・『親の心子知らず事件』 喫茶店勤めの奥サマ(45歳)
「今年の冬に突然お尻が痛くなって、立つことも歩くこともできなくなったの。出血はなかったのだけど、お尻に何かはさまっているような感じがあったので『カントン痔核ってものかしら』と思って、しばらく安静にしてたのね。そしたらちょうど1週間で痛みは取れて、動けるようになったのよ。仕事にも出られるようになったから、そのままお医者さんには行かずじまい。それにしても、便秘症でもないし、出産の時も痔にはならなかったのに、まさかこんな事になるとはねぇ。そうそう、まさかと言えば、うちの息子よ。中学2年なんだけど、寝込んでいる原因をなんだか言い辛くて『めまいがして』とごまかしていたのよ。そしたら『もう更年期か』なんて。いったいそんな言葉、どこで覚えてきたのかとびっくり。最近の子はホント、成長が早いわね。そのうち『子供ができたから結婚する』なんていきなり彼女を連れてくるんじゃないかと、自分のお尻のことよりそっちのほうが心配になったわ」
Dr.OKとの一問一答
●息子の言葉にびっくり、お尻の穴がきゅっ、で、一層痛くなったのでは、と私はそれが心配。しかし、症状が1週間限定のお尻の病気って、いったい何?
「やはり『カントン痔核』や『血栓性外痔核』のような、痔核の急性症状が疑わしいですね。これらは、普段なんともなくても、ある日、突然腫れるのが特徴です。肛門にある痔静脈内で血液が固まり、血栓=血豆のようなものが急激にたくさん形成され、発病するわけです。(詳しくは『ある腫れた日に』を参照)形成された血栓は、徐々に吸収されるので、私たちは原則的に薬を用いての保存的治療を施しています」

●症状が治まり時間が経った状態でも、病院で診断を受けたほうがいいとは思うのですが、自覚症状がないような状態でも先生方は正確に診断できるものなんですか?
「診察に最も適した時期というのは、やはり症状の強い時が一番です。特にカントン痔核か血栓性外痔核だった場合、腫れがひいてしまうと血栓の跡形もなくなってしまうため、診断が不可能になります。一方、あまり症状がなくても検査で発見される病気もあります。たとえば、大腸癌などは注腸検査や内視鏡検査で偶然発見されることがあるので『時々出血する』という方はもちろん、体調が気になる方は検診のつもりで診察を受けてください」

●標語2・鉄は熱いうちに打て お尻は痛いうちに見せろ
 でも、痛くなる前に行っておきたいから…もうひとつオマケで
 標語3・気になった時が行き時 お尻のビョーキ

私の痔慢3・『ベルトを緩めると、出るんです』 ワタシ、15年間痔持ちですぅ(34歳)
「19歳の時に初出血。原因は便秘です。24歳の時には1週間近く大出血が続き、お先真っ暗になっちゃった。それからは何か月かに1度、10日間前後の出血を繰り返してて、これじゃあダメと“早起き”と“便秘薬”で、なんとか便秘は治しました。でも、イボはしっかりあります。私の場合、(痔核は)外にポコンと出ていて、今でも、ご飯を食べた後、ベルトを緩めたまま歩き回ったりしていると、隠れてた部分までニョッキリ出てくるの。普通のポコンに、隠れていた部分が加わって大きくなってくるサマは、とても恐ろしい…。だけど、(出てきたイボの)入れ方のコツもわかってきた最近では、恐怖感も減ってきたかな。イボの先っちょを触ると痛いので『根元からゆっくり』が原則。入れた後は、なるべく正座状態でいることもポイント。椅子に座るなんて、もってのほかです。また、すぐに出てきちゃって、さっきの苦労はなんや! ってコトになるんだもん」

Dr.OK
との一問一答
●「ニョッキリ」なんて、なんと懐かしい響き。でも、私自身はベルトを締めてたせいで一層お腹が張って“ニョッキリ脱肛”の経験はあるけれど、ベルトを緩めていたせいでニョッキリとは初耳。こんな人って、多いのでしょうか?
「ベルトを締めたり緩めたりすることが、脱肛に直接影響を及ぼすとは、ちょっと考えにくいことですので、どちらも特殊な例と言えるかも知れません。ただ、間接的にベルトの強さが脱肛の原因になることは考えられます。以前、アメリカの『タイトパンツシンドローム』という記事を読んだことがあるのですが、ここには“きつめのズボンをはくと便秘になる”という内容が書かれてありました。便秘になれば排便時の腹圧が高まり、ひいては脱肛を引き起こすことになりますので、もし便秘に悩んでいるという方で毎日腹部を締めるような服装をしている方は、一度楽に着られる服に変えてみてはいかがでしょうか?」

●もしDr.OKが医者の不養生をしてくれてたら、もっと違ったアドバイスが頂けたかも、なんて。ところで、正座はお尻の穴がよけい広がり、イボがスルッと出てきそうで、私はできませんでしたが。医学的に考えて、正座はイボの再脱出防止に役立つもの?
「一般論として、座りっぱなしの生活が痔を悪くするというのはあります。しかし、座る姿勢と腹圧の関係や正座のほうが脱出しにくいかどうかについては不明です。私の先輩の平田先生は、肛門を圧迫しないよう中心部に穴が開いている特注の『痔に優しい椅子』を病院で使っています。まだ痔との付き合いがうまくいってない人は、このような椅子を試してみるのもいいかも知れませんね」

●標語4・正座の善し悪しは人それぞれ 座ってダメなら立ってみな
 痔は長〜い友達。うまく付き合う方法を見つけたが勝ち、ですね。