半閉鎖式結紮切除術


麻酔下で病巣を観察し、脱肛部分を確認する。痔核組織が全周性につながっているように見える場合でも、いくつかに分けて切除する方針を取り、主要病変部を十分に把握し切除のデザインを決める。
外痔核部分の皮下に、ボスミン加生食(1%Eを使用)を注射する。この操作で創が深くなりすぎることを防止し、術中の出血量を減少させる。ただし、内痔核部分に注射すると痔核の境界部分が不明瞭となるため原則として行わない。
外痔核の外縁から肛門縁にかけて紡錘形の切開を加える。肛門縁では切開幅を小さくし、これに続く肛門上皮の切除をできる限り少なくするようにつとめる。
肛門縁まで外痔核を剥離したら、創縁を鉗子で把持し、肛門外方に牽引する。連合縦走筋を切除しつつ牽引することによって、手術操作を肛門外で行うことができる。
外痔核部分に連続させて内痔核部分を放射状に切除する。切除線はできるだけ正常粘膜を残存させるように慎重に決定する。十分に粘膜が残存していないと術後の肛門狭窄の原因となるので注意する。
痔核の根部まで剥離したら、2-0カットグット糸を用いて根部を刺入結紮する。カットグット糸は約1週間で融解脱落し、他の吸収糸と比較して融解期間がこの術式にもっとも適している。
根部結紮した糸を用いて、粘膜断端を連続縫合する。十分に粘膜が残存していれば同様な操作を5〜6カ所行っても狭窄は生じない。
創の凹凸を形成し、バイポーラ電気メスで止血する。鎮痛坐薬を肛門内に挿入し、止血ガーゼを創にあて手術を終了する。ガーゼを肛門内に留置すると、術後の疼痛原因となるため行わない。